2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590197
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
西井 清雅 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 助教 (20264020)
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Keywords | 発生・分化 / 細胞・組織 / 画像解析 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、器官発生の座標データを蓄積することにより、その発生力学を理解することである。発生器官に働く物理力は構成細胞の変位データにより計算できる。そこで、「乱数的に」かつ「まばらに」かつ「なるべく多くの細胞種で」遺伝子組換え酵素Creを発現するマウス系統を確立するとともに、心臓発生、胚盤胞発生、網膜神経節細胞の投射制御、について定量解析を行い、将来の網羅的解析を見据えた条件検討を進めることにしている。平成22年度は、以下のごとく研究を遂行した。 1.研究室内にES細胞を安定して維持できる培養システムがないため、本校動物施設内に新たにES細胞培養室を設置し、培養に必要な設備を整備した。本培養室は動物施設の協力により、本校研究者が自由に使用できるようにした。同時に、まばら組換えマウスの作製に使用する遺伝子ベクターを作製し、今後ES細胞へ導入していく予定である。 2.心拍動のビデオ画像から座標情報データを蓄積し、野生型とギャップ結合変異型とでパターン比較を進めた。刺激興奮伝導の時空間分布を算出し、ビデオ画像上に情報をマッピングしたところ、心筋特異的Cx45欠損心筋で頻繁に逆行伝導が起こっていること、(心筋特異的ではなく、)単純Cx45欠損心筋の伝導が遅延していることを明らかにした。今後検体数をさらに増やして統計解析を行う予定である。なお、ビデオ画像解析により、新たにカルシウム依存転写制御因子の活性化と、心拍動異常を示す遺伝子変異マウスの表現型との関連が強く示唆された。 3.胚盤胞培養とレトロウイルス感染、および網膜への遺伝子・コレラ毒素のインジェクションについては、実験系の検討を中心に進めた。網膜神経節細胞の外側膝状体への投射パターンを出生2週間前後のマウスにおいて調べ、今後2重ラベルや遺伝子変異導入など、発展させていく予定である。
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