2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590197
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
西井 清雅 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 助教 (20264020)
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Keywords | 発生・分化 / 細胞・組織 / 画像解析 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、器官発生の座標データを蓄積することにまり、その発生力学を理解することである。そこで、「乱数的に」かつ「まばらに」かつ「なるべく多くの細胞種で」遺伝子組換え酵素Creを発現するマウス系統を確立するとともに、心臓発生、胚盤胞発生、網膜神経節細胞の投射制御、について定量解析を行い、将来の網羅解析を見据えた条件検討を進めることにしている。 初年度のビデオ画像解析により、心筋特異的Cx45欠損心筋において、遺伝子組換えの起こっていない細胞の間でギャップ結合を介した異常伝導が起こっていることが明らかとなった。さらに23年度は、「心筋特異的Cx45欠損心筋は異常伝導を起こすものの、異常伝導が発生しない心拍における伝導は野生型と変わらない」こと、及びrCx45全欠損心筋の示す伝導速度は、有意に遅延している」という2つの重要な結論が得られた。この結論は、心筋特異的Cx45欠損マウスは心内膜床を産生できるのに対して、Cx45全欠損マウスは心内膜床を欠損するという表現型の差異を説明するように思われた。なぜならば、マイクロアレイ解析により、カルシウム依存性転写因子NFATcがCx45欠損に伴う下流因子として影響を受けていることが明らかとなったからである。そこで、NFATcとCx45との関連を詳しく知るため、ギャップ結合を持たないN2A培養細胞に蛍光ラベルNFATc4とCx45を共発現させ、カルシウムイオノフォアに対する反応を解析した。Cx45の存在によりNFATc4活性化が協調することがこれまでに明らかになっており、今後データを確実なものにして論文発表する予定である。 平成23年度の時点で、まばら組換えマウスの作製についてES細胞における選別を検討中である。その他の研究項目についても実験系の検討を行っており、今後具体的成果に発展させていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NFATc4の細胞内局在とCx45ギャップ結合との関連について、当初予想しなかった展開が得られている。一方、まばら組換えマウス作製実験等についてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児心拍動のタイムラプス画像解析およびギャップ結合によるNFATc4の細胞内局在制御の所見を取りまとめ、論文として発表する。研究計画の他の実験計画について、期間内に当初の目標をそのまま達成することは困難と思われる。上記の実験で新たな展開が生じたことが原因であり、実験計画はそのまま進めて、将来の研究の発展につなげていく予定である。
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