2010 Fiscal Year Annual Research Report
ATP加水分解スイッチ仮説に立脚したABCトランスポータ駆動メカニズムの解明
Project/Area Number |
22590212
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
相馬 義郎 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (60268183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 真理子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30525811)
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Keywords | ABCトランスポータ / ATP加水分解 / Nucleotide Binding Domain / CFTR / チャネル / 結合エネルギー / ゲーティング / 水和 |
Research Abstract |
今年度、我々はCFTRチャネルのNBDにおけるATPの安定結合に重要な働きをしていることが知られている1219番目のチロシン残基に変異導入(Y1219X)すると、正常なATP加水分解とATP加水分解失敗の明確に分けられる2つのケースが確率的に起こることを発見した[Shimizu,Yu, et al, 2010]。このことは、NBDエンジンの動作サイクルにおいて、NBD二量体形成(チャネル開口)中に、その次のステップにおけるATP加水分解の成否を運命づけている、ある隠された「ATP加水分解のための準備状態」が存在していることを示唆している。この現象は、Y1219X変異によるNBDエンジンの動作ミスがATP加水分解の異常によって引き起こされるのか、あるいはATPの結合エネルギーの違いに起因するものであるのかなど、本研究の中心命題である「ATP加水分解スイッチ」の存在とそのメカニズムの解明のために非常に重要な情報に関連しているものと考えられる。 さらに今年度は、CFTR特異的阻害薬CFTRinh-172の阻害メカニズムの詳解を行い、CFTRチャネルには細胞外側にあるイオン透過ゲートの他に、より細胞内側にもうひとつルーズなゲートがあることを明らかにした[Kopeikin et al, 2010]。さらにATP依存性チャネルゲート駆動が失われた変異体G551D-CFTRの薬剤ゲニステインgenisteinとクルクミンcurcuminによるゲート駆動の回復とそのメカニズムについての研究[Yu,Miki et al 2011]をおこない、本プロジェクトの基盤ターゲットであるCFTR分子の作動メカニズムについての重要な知見を得ることができた。
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