2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳の性的二型形成におけるエストロゲン制御シグナル伝達経路の解明
Project/Area Number |
22590214
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
木山 裕子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60234390)
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Keywords | シグナル伝達 / エストロゲン / マイクロアレイ / 脳の性分化 / エピジェネテック |
Research Abstract |
本研究の目的は、性ホルモン環境によって制御を受ける脳の形態学的雌雄の分化について、周生期に脳の性分化を示すラットの脳を対象に、性ホルモン影響下での遺伝子発現をもとに、その分子機構を解明することである。本研究課題について、4年間で明らかにしたい研究目標を具体的に5点、[I]~[V]挙げた。平成22年度に実施した研究内容は、[I]脳の性分化の臨界期にある新生仔期において、エストロゲンに応答する遺伝子のマイクロアレイ法による検索、及び、[II-1]I]により選択された遺伝子の発現定量、の2点を実施した。具体的には、 [I]検体である雌ラットを、出生直後にエストロゲン(100μg)皮下投与した群と未処理群とに分け、生後1日目、4日目に断頭し、解剖学的に雌雄に差異がある視索前野領域を含む脳切片を採取した。対象検体として、脳の性分化が完了した10日齢の雌ラットを用い、同処理を行った。これらの試料を用いて、ヒトで同定されたエストロゲン応答遺伝子群を基に、172個のラット遺伝子をスッポトしたカスタムDNAマイクロアレイを用いてエストロゲン応答遺伝子のプロファイリングを行った。その結果、172個の遺伝子の中で、時期特異的・部位特異的に応答する、appoptosis/migration関連の遺伝子14個を同定した。 [II-1]同定された14個の個々の遺伝子の発現量を、Real-time RT-PCR法にて定量した。その結果、2個の遺伝子、Protein KinaseC-δ(PKC-δ)及び、Rho family Small GTP-binding proteinに結合しGDP解離を阻害するArhgdia(Rho GDIα)に絞り込むことができた。これら2個の候補遺伝子のタンパク質発現を、Western blotting法によて定量する実験を開始している。
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