2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血・再灌流時のNa・Ca濃度と活動電位のシミュレーション
Project/Area Number |
22590216
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
車 采映 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, ポストドクトラルフェロー (20456867)
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Keywords | 虚血・再灌流(ischemia/reperfusion) / モデル・シミュレーション / Na/K pump / ミトコンドリア酸化的リン酸化 / 膵臓β細胞モデル / pH / ATP / 数学的な解析 |
Research Abstract |
1. 細胞内pH・ATP/ADP Piの変化 虚血・再灌流(ischemia/reperfusion)に際して、心筋に最も重大な障害を与える要素は、細胞内外のpHとATP/ADP Pi濃度の急激な変化である。すなわち、ミトコンドリア酸化的リン酸化では、H^+濃度勾配を使ってATPを産生するため、細胞内のpHとATP濃度は緊密につながっている。22年度の研究は、細胞内のpH・ATPの変化が細胞に与える影響を調べるための前段階として、Na/H交換機転と同様に重要な役割を担うNa/K pumpのkinetic modelを完成・発表した。更に、ミトコンドリア酸化的リン酸化モデルの数学的な解析を行った。新規の膵臓β細胞モデルにNa/K pumpモデルを加え、エネルギー代謝とポンプ活性共役による細胞機能変化を解析した。 1) NaK pump model NaK pumpは細胞内Ca^2+・Na^+濃度調節に重要な役割を演じている。今回の新しいモデルは、既存の細胞内のNa^+、K^+、ATPだけではなく、細胞外Na^+、K^+、グルコース、細胞内、ADP、Pi、K^+、H^+濃度依存性をすべて説明できる。 2) ミトコンドリア酸化的リン酸化モデルの数学的な解析 酸化的リン酸化を細胞モデルに加えることは虚血・再灌流の影響を正確に予測するために必須である。私はbifurcation analysisを用いて、2008年Dzbekらによって開発された酸化的リン酸化モデルのpH・ATP依存性を調べた。今後その結果を元にparameterの再調整を行う計画である。 2. 膵臓β細胞モデルの作成とNaK pump modelの導入 上記の二つのモデルは最終的に他の分子モデルと共に細胞モデルに統合し、シミュレーションをすることを目的としている。我々は独自にβ細胞モデルを開発し、NaK pump modelを加え、NaK pumpの役割を定量的に示すことができた。
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