2011 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛内直流電位の調節に対する細胞間タイト結合(クローディン)の役割
Project/Area Number |
22590217
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
窪田 隆裕 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10084906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 純子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40340559)
白岩 有桂 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20596605)
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Keywords | 蝸牛内リンパ腔電位 / クロディーン / Ca^<2+> / 末梢性感音難聴 / ノックアウトマウス / タイト結合 / 急性虚血 / キメラマウス |
Research Abstract |
蝸牛内リンパ腔電位(endocochlear potential, EP;+80mV程度)は音受容の際に有毛細胞に電流を運ぶ重要な役割を担っている。しかし、EPの発生や調節機構については未だ解明されていないのが現状である。これらの機序を解明することにより、末梢性感音難聴の一つである急性虚血性および薬剤性難聴の治療に検討を加えていきたい。現時点では、無呼吸負荷によるEPの低下は内リンパ腔周辺細胞内(特に血管条辺縁細胞やラセン隆起の線維芽細胞)のCa^<2+>濃度上昇によるタイト結合の電気的抵抗の低下ではないかと推論した(Mori et al.,J Physiol Sci,59,2009)。事実、内リンパ腔周辺細胞の細胞間結合に共通のクローディン14の先天的異常は難聴を来すことが報告されており、この動物モデルを用いての電気生理学的研究は末梢性感音難聴の解明に新たな知見を提供するものと考える。本研究では、(1)内リンパ腔周辺細胞のタイト結合の性格を無呼吸負荷時における内リンパ腔液のイオン変化から解析し、(2)クローディンノックアウトマウスを用いてEPの調節におけるクローディンの関与を検討する。 1)電気生理学的実験:森(関西福祉科学大学教授)、大学院生 大学院生と共に主モルモットを用いて、虚血時には内リンパ腔周辺の細胞間タイト結合の電気的抵抗変化によりEPが変化することを見出した(論文作成中) 2)分子生物学的操作:山路、白岩(本学講師、助教) F1キメラマウス作成に成功した(♂、♀とも)。これによりクローディン14KOマウス作成も可能となった。 以上より、23年度の研究計画はほぼ達成されたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クローディンKOマウスの作成に時間を要し、本年4月の時点で、F-1ヘテロマウスの作成に成功した。6月にはKOマウスが作製出来ると考える。その後すぐに、内リンパ腔電位を測定し、Wild typeのマウスとの比較検討を行うので本年度中には本研究テーマを遂行出来ると考える。しかし、論文発表はおそらく次年度になると予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、電気生理学的実験をKlOマウスで遂行するだけである。Wild typeのマウスについては、既に実験を終えており、比較検討するだけである。研究計画の変更や問題点は既に解決済みである。
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