2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590220
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仲村 朋子(吉川朋子) 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30451397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲村 厚志 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (50361829)
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Keywords | 生物リズム / 概日時計 / 卵巣 / 末梢時計 / 排卵 / ルシフェラーゼレポーター / 生物発光 |
Research Abstract |
生体内のほとんど全ての末梢組織に、概日時計が存在することが示されている。しかし、それらの末梢概日時計が、それぞれの組織の生理機能にどのような役割を持つのかはわかっていない。そこで、概日時計遺伝子のプロモーター下流にルシフェラーゼレポーターを組み込んだトランスジェニックラットを用い、卵巣をモデル器官とした解析を行ってきた。これまでの研究の結果、LHが概日時計の位相調節シグナルとして働く可能性を強く示唆することができた。さらに、ラットに人工LHサージを与えて排卵を誘導すると、誘導効率に時刻依存性があることがわかった。この結果は、卵巣の概日時計はLHサージに対する卵巣の反応性を決めることによって排卵のタイミング決定に関わる可能性を示唆する。そこで、このような時刻依存性の発現には、卵巣においてLHサージから排卵に向かう遺伝子発現カスケードのどこかに、時刻情報の入力点があると仮説を立て、それを検証する実験に着手した。Cyclooxygenase2(Cox2)は、LHサージ後に転写が誘導される遺伝子のひとつで、そのプロモーター領域にE-box配列を持つ。一方、概日時計遺伝子転写産物であるBMAL1は、E-box配列を介して転写調節因子として働くことが知られていることから、BMAL1によるCox2の転写調節があるのではないかと考えた。そこで、クロマチン免疫沈降法により、Cox2とBMAL1の直接的相互作用を検出するべくLHサージ後とそれ以外の時間帯においてラット卵巣の濾胞細胞を回収した。しかし、クロマチン免疫沈降法に供するのに十分な濾胞細胞を回収することが困難であることが判明し、現在は濾胞細胞回収条件の検討と代替手段の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
クロマチン免疫沈降法に供するのに十分な濾胞細胞を卵巣より回収することが困難であることが判明した。そのため、当初は、予定していなかった濾胞細胞回収効率を上げるための条件検討を行う必要が生じた。条件検討のためには、実験動物(ラット)を繁殖して増やす必要があり、律速となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
クロマチン免疫沈降法に供するのに十分な濾胞細胞を卵巣より回収するための条件検討を進める。しかし、状況が改善しない場合の代替措置として、卵巣濾胞細胞より樹立された培養細胞株を用いた解析に切り替えた実験を視野に入れ、培養細胞株2種を入手した。濾胞細胞あるいは、培養細胞株のいずれかを用いて、クロマチン免疫沈降法による解析を進める。
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