空腹シグナルと行動および視交叉上核サーカディアンリズム制限給餌同調との関連性

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 22590222
• Research Institution: University of Fukui
• Principal Investigator: 安倍 博 福井大学, 医学部, 教授 (80201896)
• Keywords: サーカディアンリズム / 制限摂食 / グレリン / 行動 / 同調 / 体内時計 / 視交叉上核 / CSマウス

Research Abstract

近交系マウスのCS系では、他系統マウスとは異なり、摂食を毎日定時に制限する制限摂食条件(RF)により、体内時計中枢である視交叉上核(SCN)がリセットされ、リズムがRFに同調する。本研究では、なぜCS系でのみリズムがRFに同調できるのかを明らかにする目的から、空腹関連ホルモンであるグレリンに注目し、CS系マウスの行動リズムとグレリンとの関連性を検討した。
1. RFにおける給餌前グレリン・レベルの比較
ベースラインとして12時間交代の明暗サイクル下の自由摂食条件で行動リズムを計測したのち、恒常暗条件に移行しRF条件を行った。行動リズムがRFに同調することを確かめたのち、給餌時刻前に眼窩静脈叢より採血を行い、血中グレリン濃度をELISA法により測定した。グレリン濃度は、同時刻に採血した自由摂食群のマウスと比較した。その結果、RF群のマウスでは、自由摂食群のマウスよりもグレリン濃度が高くなる傾向があった。このことから、CS系マウスのリズムのRF同調には、摂食前のグレリン分泌が関連する可能性が考えられた。
2. グレリン投与による行動リズム同調の検討
ベースラインとして12時間交代の明暗サイクル下の自由摂食条件で行動リズムを計測したのち、恒常暗条件に移行し、グレリンを毎日一定時刻に腹腔投与することによる行動リズムの変化を観察した。統制群として、グレリン投与と同時刻に生理的食塩水を投与した。その結果、グレリン投与時刻に行動リズムが同調するマウスと、そうではないマウスとに分かれ、結果が分かれた。結果が分かれた原因は特定できていないが、これらのことからグレリンの定時投与によりCS系マウスの行動リズムが影響を受ける可能性があることが示された。