2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳内AMPKの睡眠ホメオスタシスおよび体温調節における役割とそのメカニズム
Project/Area Number |
22590224
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
勢井 宏義 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40206602)
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Keywords | 環境生理学 / 栄養生理学 / 生体リズム / 摂食調節 / 睡眠・覚醒 |
Research Abstract |
本課題では、22年度の実施計画として、(1)AMPKの免疫組織学的検討、(2)AMPK作動薬の脳内局所投与、(3)非薬物的AMPK活性化の効果、を挙げていた。(1)に関しては、AMPK-αサブユニットに対する抗体を用いた免疫染色をトライしているが、未だ明瞭な染色が得られていない。抗体の検討、染色条件の改良など、継続的に試行している。(2)に関しては、AMPK作動薬が人工髄液などに全く溶けず、局所投与は難しい。そこで、ウイルスを用いた遺伝子レベルでの発現抑制を計画し、現在セットアップ中である。(3)に関して、AMPKの活性化を引き起こすことが知られている絶食について観察を行った。24時間の絶食は、マウスにおいて体温の低下を引き起こすが、その際、視床下部では、NPYの発現増加やAMPKの活性化が引き起こされる。我々も確認した。睡眠は、この24時間の絶食中には、覚醒の増加傾向、ノンレム・レム睡眠の減少傾向が見られるが、睡眠ホメオスタシスの指標であるデルタ波のパワーには影響を与えなかった。一方、絶食後の再摂餌を起点として、デルタ波パワーの大きな増強が観察された。この現象は、6時間の断眠、AMPK活性化薬(AICAR)の脳室内投与に伴う睡眠の変化に類似しており、それらに共通するのは、やはり、AMPKの活性化である。現在、この絶食に関する結果を英文論文にまとめ、投稿中(revise version)である。また、PPARαノックアウトマウスにおいて、AICARの脳室内投与がデルタ波パワーを増強させないことを見いだしている。AMPKの睡眠ホメオスタシスに対する働きにはPPARαが仲介していることが示唆され、23年度の研究計画に加えている。
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