2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590233
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
河原 幸江 久留米大学, 医学部, 講師 (10279135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 芳寛 久留米大学, 医学部, 講師 (20352122)
河原 博 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10186124)
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Keywords | グレリン / ドーパミン / オピオイド / 摂食 / 報酬 / 腹側被蓋野 / マイクロダイアリシス |
Research Abstract |
摂食亢進性ホルモンであるグレリンの、摂食亢進作用に、中脳辺縁系ドーパミン神経を介する食物報酬の調節作用が含まれるかどうかを、マイクロダイアリシスを用いて検討した。 これまでに、グレリンが中脳辺縁系ドーパミン神経の活性を、食物報酬の有り無しによって両極性に変動させることを観察した。このグレリンのドーパミン神経作用のメカニズムには、ドーパミン神経細胞体側(腹側被蓋野)に存在するGABA inter neuronと、腹側被蓋野に投射するGlutamate神経が介在することがわかった。 そこで、食物報酬の有り無しや、食物の報酬レベルの違いにより、グレリンの中脳辺縁系ドーパミン神経に対する作用への、オピオイド受容体の関与を調べた。オピオイド受容体自体の、ドーパミン神経調節作用の有無を調べるため、最初に、グレリンを投与していない安静状態でオピオイド受容体の活性を調べた。この結果、グレリンを投与していない安静状態では、これらのオピオイド受容体の活性は検出されず、オピオイド受容体はドーパミン神経を調節していないことがわかった。次に、グレリン投与後に食物が摂食された場合の、これらのオピオイド受容体の活性化を調べたところ、日常的に摂食している食物の摂食ではμオピオイド受容体が優位に活性化してドーパミン神経を興奮させていること、報酬効果の高い嗜好性の高い食べ物の摂食では、κオピオイド受容体が活性化し、ドーパミン神経の興奮を抑制していることがわかった。また、生理的な空腹による摂食行動では、日常的に摂取している食べ物と嗜好性の高い食べ物の両方で、μオピオイド受容体が活性化し、ドーパミン神経を興奮させることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グレリンの食物報酬調節作用は、腹側被蓋野に存在するGABA interneuronとグルタミン酸神経の興奮、および生体内オピオイドによるオピオイド受容体の活性が関与する中脳辺縁系ドーパミン神経の調節によるものであることわかった。今年度、このグレリンの作用が、ドーパミン神経に対する直接的作用か間接的作用かを調べ、最終的に行動学的解析まで実施する予定であるが、今年度に終了することが可能であると予測するため。
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Strategy for Future Research Activity |
グレリンの報酬調節作用の、中脳辺縁系ドーパミン神経に対する神経分子メカニズムがわかったうえで、グレリンによる食物報酬に対する行動変化を調べる予定である。現在、食物報酬の行動学的解析方法は、明確に確立していないことから、手法の信頼性やプロトコールの確立を推進する必要がある。
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Research Products
(10 results)