2011 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス下での、神経ペプチドW、Bの自律神経機能調節機構の解明
Project/Area Number |
22590236
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
入鹿山 容子 筑波大学, 分子行動科学研究コア, 研究員 (90312834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村越 伸行 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80447218)
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Keywords | 生理活性 / ストレス / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
本研究では、新規神経ペプチドW,B(NPW、NPB)、その受容体であるNeuropeptideB/Wreceptor(NPB/WR1)の、ストレス下での自律神経機能調節における役割について、NPB/WR1欠損マウスを用いて解析した。NPB/WRIは扁桃体に存在することから、不安や恐怖といった感情を行動や自律神経系の反応と結びつける扁桃体から脳幹、視床下部への出力系(CRH系など)に対して、NPW、受容体であるNPB/WR1系が抑制性の役割を担っていると推測される。NPB/WR1欠損マウスは野生型マウスと比較して、尿中カテコールアミン量が増大し、心肥大程度が亢進していた。さらににアンジオテンシンII投与による心肥大病態モデルを作成した場合においても、NPB/WR1欠損マウスは、野生型マウスと比較して有意に心肥大が悪化した。急性ストレス下でのNPW-NPB/WR1系の役割を解明するため、ストレス負荷モデルを作成し、テレメトリーシステムを用いて、心拍数、行動量、体温を観察しながらNPB/WR1欠損マウス、野生型マウスにintruder(侵入者、C57/BL6Jマウス)を30分間接触させ、内分泌系のホメオスタシスの撹乱を行った後、それらのパラメータの変化を比較した結果、野生型と比較してNPB/WR1欠損マウスは、心拍数の定常状態への回復が非常に遅いということが判明した。(intruderとの接触2時間後の心拍数の増加率;WT:112.9±70.7%,N=5,NPB/WR1欠損マウス:125.1±69.5%,N=6,p<0.05,intruderとの接触3時間後の心拍数の増加率;WT:104.5±24.7%,N=5,NPB/WR1欠損マウス:114.6±58.8%,N=6,p<0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NPB/WR1欠損マウスを用いた、急性ストレス(侵入者との接触)による自律神経系の制御については、テレメトリーを用いて心泊数、行動量、体温を指標として評価することができ、NPB/WR1欠損マウスは、野生型と比較して心拍数の定常状態への回復が非常に遅いということを見出すことができた。同様に、慢性ストレス下(侵入者との接触30分/1日、2週間)での自律神経系の制御についてNPB/WR1欠損マウスを用い、野生型と比較して評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
NPB/WR1欠損マウスは、急性ストレス下(侵入者との接触)での自律神経系の制御機構が変化している可能性があり、今年度はこれについてさらに詳しく調べる。NPB/WR1欠損マウスの自律神経系の制御について、野生型マウスと比較するために、麻酔下で心電図を測定しR波間隔の周波数解析を行う。さらに、α、β遮断薬投与による、血圧や心拍数の減少から元々の活動量を推定する。2群間で変化が認められる場合には、腎血管支配の交感神経を単離して、交感神経活動を直接測定する。また、侵入者によるストレス刺激を模倣するために、侵入者マウス(雄、雌)の尿をそれぞれ蓄尿し、嗅がせることにより外的刺激として、同様に自律神経活動を観察する。
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Research Products
(1 results)