2011 Fiscal Year Annual Research Report
心房細動の治療標的分子の同定:持続性心房細動モデル犬を用いて
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22590237
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
杉山 篤 東邦大学, 医学部, 教授 (60242632)
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Keywords | 心房細動 / 抗不整脈薬 / Buchmann束 / QT延長 / torsades de pointes |
Research Abstract |
【慢性持続性心房細動モデルの作成】 前年度、ペーシング電極を慢性房室ブロック犬の左心房(Buchmann束付近)に装着することで、心房を600bpmの頻度で1:1の電気刺激ができることを見いだした。今年度、この方法を用いてモデルの作成を行ったところ、再現性をもって慢性持続性心房細動モデルを作成することが可能であることが確認された(n=6)。この手法で作成した慢性持続性心房細動モデルに薬物を投与することにより抗心房細動作用を評価した。 【臨床応用されている薬物の評価結果】 前年度は、臨床応用されているピルジカイニドおよびジソピラミドの抗心房作用を評価し、心房細動停止効果はそれぞれ2/6および1/6であった。本年度は、同様に臨床応用されているアプリンジン(3mg/kg/10min,i.v.)およびシベンゾリン(3mg/kg/10min,i.v.)の抗心房細動作用を評価した。心房細動停止効果はそれぞれ0/6および2/6あった。結合解離が遅いタイプのNaチャネル抑制が心房細動停止に必要な薬物側の条件であることが判明した。副作用(特に、QT間隔延長に伴うTdPや心室性不整脈発生)は認められなかった。 【開発候補化合物の評価】 新しい作用点(I_<kur>遮断)を有する候補化合物AVE0118の評価を行った。6mg/kg/10min,i.v.の用量で心房細動停止効果は2/6であった。副作用(特に、QT間隔延長に伴うTdPや心室性不整脈発生)は認められなかった。I_<kur>遮断作用も心房細動停止に必要な薬物側の条件であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルの作成および薬物評価(既存薬、開発候補化合物)に関して、いずれも予定通りに進捗している。平成24年度の研究成果を加えることにより、心房細動に対する有効かつ安全な薬物療法の報告性を明確に出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果に基づきモデル動物を作成する(n=8~10)。実験方法の詳細は平成22年度の記載事項に準じる。新しい作用点を有する薬物(Ito,遮断薬、I_<KACh>遮断薬、心房選択型Na遮断薬など)の抗心房細動作用と副作用(特に、QT間隔延長や心室性不整脈発生の有無)を詳細に解析する。また、各薬物の抗心房細動作用と副作用の実験結果を総合的に分析することにより、有望な治療標的分子を明確にし、心房細動に対する有効かつ安全な薬物療法を確立する。
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