2010 Fiscal Year Annual Research Report
PPARαアゴニストを利用した新たな慢性腎臓病治療法の開発
Project/Area Number |
22590238
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上條 祐司 信州大学, 医学部・附属病院, 助教 (50377636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 俊文 信州大学, 医学系研究科, 教授 (50231105)
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Keywords | 慢性腎臓病 / PPARα / 尿細管障害 / 糸球体腎炎 / 脂肪酸代謝 / 酸化ストレス / アポトーシス / 炎症反応 |
Research Abstract |
本研究は、in vivoの動物腎モデルにPPARαアゴニストを与することで、糸球体・尿細管障害に対して、PPARαの活性化が有益であるか検討し、ヒトへの臨床応用の前段階としての有益な基礎情報を得ることを目的としている。H22年度は、大量尿蛋白誘発マウスモデルであるprotein-overload nephropathyに対するPPARαアゴニストの尿細管保護作用について検討した。その結果、PPARαアゴニストであるクロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラートは、蛋白尿に付随する脂肪酸毒性に対し(1)脂肪酸代謝の恒常性の維持(2)抗酸化ストレス作用(3)抗アポトーシス作用(4)抗炎症作用を介して、PPARα依存的に尿細管保護作用を発揮することを証明した。またこの過程で、フィブラート製剤にはPPAR非依存的な毒性作用があり二面性を示すことも判明した。尿細管保護作用と毒性作用のバランスが重要であり、特に腎障害時にはフィブラート製剤の毒性作用が顕著になるため適正なフィブラート投与量の確立や、腎障害により血中濃度が影響されないPPARαアゴニストの開発の重要性がヒトの慢性腎臓病応用のためには必要であることが明確となった。この成果については、平成22年度末に英文誌にin pressの状態となりH23年度に公表される予定である。また代表的な糸球体腎炎モデルであるラットThy1腎炎に対するPPARαアゴニストの糸球体腎炎抑制作用についても、フィブラート製剤が糸球体内での炎症伝達経路を抑制し腎炎抑制的に機能するというデータを得ている。H23年度には、その成果を英文誌に投稿予定としている。PPARアゴニストを慢性腎臓病治療に利用する際の重要な基礎データを順調に積み上げていると判断している。
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Research Products
(1 results)