2012 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋細胞の可塑的変化における細胞内ネットワークの解明
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22590240
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岡垣 壮 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (80185412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 淳史 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (70203693)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 血管 / 形質変換 / 細胞骨格 / 動脈硬化症 |
Research Abstract |
平成24年度はスクリーニングした遺伝子のうちT-plastinについて集中的に実験をおこなった。大腸菌で発現した全長のT-plastinをイオン交換クロマトグラフィーで精製し、トリに免疫しポリクローナル抗体の作成をおこなった。この抗体は非常に特異性が高いことがわかった。この抗体を利用して間接蛍光抗体法によりマウス大動脈由来のAC01細胞において、細胞内分布を調べたところストレスファイバー上にアクチンと共局在することがわかった。また大腸菌で発現したT-plastinと骨格筋アクチン、砂嚢平滑筋アクチン、大動脈平滑筋アクチンとの結合を解析した。いずれのアクチンアイソフォームにもほぼ同程度の結合を示し、アクチン線維を束ねることが確認された。さらにこのアクチン線維の束形成はカルシウム依存的で、カルシウム10-7M以下では束が形成されるが、カルシウム濃度が10-6M以上ではこの束形成がおこらなかった。これは暗視野光学顕微鏡観察、遠心法で上清と沈殿の組成をSDS-PAGEで解析する方法のいずれでも確認できた。しかし発現したT-plastinとアクチンとの結合は、細胞骨格系タンパク質のなかでは親和性が低く、結合実験によって推定した解離定数は5X10-6Mであった。上記のポリクローナル抗体を用いて、豚大動脈にT-plastinが存在することがわかったので、大動脈からT-plastinを種々の条件で抽出し、ウェスタンタンブロットで種々の画分に含まれるT-plastinを検出することによって、高イオン強度のバッファーでT-plastinを抽出、硫安分画、Phenyl-TP、DEAE-TPというプロセスでT-plastinを精製することができるようになった。アクチンとの結合において、発現したT-plastinと大動脈から得られたT-plastinの機能に差があるかを、今後すぐに調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初ポリクローナル抗体作成は2ヶ月程度を要すると考えていたが、追加免疫をしても抗体価がなかなか上がらず結局この作業に6ヶ月を要してしまった。また大腸菌で発現したT-plastinとアクチン線維との親和性が良くなかったので、その理由を明らかにするため種々の溶液条件を変えてトライしたため、この操作でも6ヶ月を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
T-plastinの細胞内での発現量が少ないため、T-plastinの細胞内局在を詳細に調べるためにはGFPベクターを作製し、平滑筋細胞に導入する必要がある。またT-plastinの遺伝子をノックアウトし、そのことが血管平滑筋細胞の形質変換におよぼす影響について解析する実験にも着手したい。
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