2011 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧性拡張期心不全の動物実験モデル並びに治療法の確立
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22590246
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
千本松 孝明 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (70216563)
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Keywords | 循環器、高血圧 / 拡張期心不全 |
Research Abstract |
左室収縮能が維持もしくは軽度低下にもかかわらず心不全に陥る拡張期心不全は、全心不全患者の約半分をしめる。しかし現時点において有効な治療法は確立していない。高血圧が重要なリスクファクターである拡張期心不全において、高血圧から心不全への進展にinflammationを介する心臓の線維化が関与している可能性があり、抗炎症薬であるcyclooxygenase(COX)阻害薬が拡張期心不全の治療法として有効であれば、新たな心不全治療薬として期待出来る。そこでAngII(200ng/min/kg)を浸透圧ポンプを用いて持続投与し、高血圧による拡張期心機能障害を呈したラットに、以下のごとくCOX-1、2阻害薬であるindomethacinを異なる用量を投与して拡張期心不全進展に対する予防効果を確認したところ(1.AngII投与開始から7日目までindomethacin(1mg/kgもしくは5mg/kg)、2.AngII投与開始後8日目から14日目までindomethacin(1mg/kgもしくは5mg/kg))、興味深いことに高血圧初期段階(昇圧剤投与から7日まで)に投与されたindomethacinはむしろ拡張能を悪化させた。このことは、少なくとも病態の初期段階ではCOXはprotectiveに作用していることが示唆された。しかし高血圧後半に投与された群でもCOX阻害薬の効果は認められなかった。これらのことは、高血圧が始まるごく初期の更に短期間に病態を決定付ける炎症の効果が存在すると考えられ、来年度はこの病態決定期間を確定する実験を施行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
少なくとも高血圧持続動物実験モデルとして拡張能の障害が出現することは確認された。それに対して抗消炎薬がどの時期にどのような効果を示すかを現在確認段階に来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
左室拡張障害と左室拡張心不全の違いを明確に示すこと。すなわち我々の実験系では、極めて短時間で拡張能の障害(約10日間から2週間で)を認めるが、その病態は必ずしも心不全ではない。障害を認めるが不全心ではないこの期間にどのような治療が有効であるかを進めて行きたい。拡張心不全は線維化が強く病態の改善は極めて困難と考えられ、障害を示すも不全心に至っていない期間こそ極めて重要と考えられる。
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Research Products
(1 results)