2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病関連神経細胞死を制御するシグナル伝達経路の解明と診断・治療法開発
Project/Area Number |
22590247
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
橋本 祐一 東京医科大学, 医学部, 講師 (00317330)
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Keywords | アルツハイマー病 / 神経変性疾患 / サイトカイン / ヒューマニン / 受容体 / 治療薬 / 細胞内シグナル伝 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(ア病)は全世界に1,000万人以上の有病率を誇るといわれる原因不明の神経変性疾患である。進行性の記憶認識障害と神経脱落を主徴とし、その診断・治療法は未だ確立されていない。申請者が所属する研究グループでは、炎症性サイトカインTGFβ2がアミロイド前駆体蛋白質(APP)の細胞外領域と結合し細胞死シグナルを出力させることを世界に先駆けて発表した。また、これらア病関連侵害刺激が惹起する神経細胞死の抑制するペプチド性因子ヒューマニン(HN)を世界に先駆けて得た。更に、2009年HN受容体がgp130/WSX-1/CNTFR複合体であることを報告した本申請の研究計画において、平成22年度では(1)APPを中心とした細胞死シグナル出力蛋白質複合体の網羅的検索と複合体構成分子の同定、(2)HN受容体の性状の解析とアゴニストの探索、(3)内在性HN類似蛋白質(EH)の探索とそのin vitro、in vivoでの効果、および(4)HN活性阻害蛋白質の探索、を予定していた。 計画(1)について、まずTAG-1がTGFβ2/APPが誘導する神経細胞死を抑制する事を報告した。次に、プレセニリン結合タンパク質MOCAがAPP介在性神経細胞死に深く関わっている事が分かった。成果は現在投稿中である。計画(2)では本年度HN受容体とシグナル伝達に関する英文総説を執筆した。また、計画(3)では抗HN抗体を用いた免疫沈降法によってHN様活性を有する分子の同定に成功した。この分子はHN受容体の強力なアゴニストである事を発見した。研究成果は現在投稿中である。さらに計画(4)においてはイタリアSiena BiotechのCaricasole博士と国際共同研究を実施し、V-set and transmembrane domain containing 2 like(VSTM2L)がHNのアンタゴニストである事を発見した。
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