2010 Fiscal Year Annual Research Report
コリントランスポーターを標的とした分子標的癌治療法の開発
Project/Area Number |
22590248
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
稲津 正人 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00297269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 裕久 東京医科大学, 医学部, 助教 (50306833)
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Keywords | コリン / トランスポーター / 神経芽腫細胞 / アセチルコリン / フォスファチジルコリン |
Research Abstract |
コリンは、全ての動物細胞にとって重要な必須栄養素であり、細胞膜の構成成分であるリン脂質の合成に利用されている。最近、癌細胞においてコリン代謝系の異常が観察され、細胞増殖との関連性が指摘されている。また、PET/CTを用いた癌の画像診断において^<11>C-コリンや^<18>F-コリンが用いられるようになり、コリンの腫瘍細胞への集積性の高さが確認されている。従って、癌細胞は積極的にコリンを取り込み細胞増殖に利用していることが推察される。そこで我々は、神経芽腫細胞(SH-SY5Y:非コリン系、LA-N-2:コリン系)におけるコリン取り込み機構についての解析を行った。その結果、神経芽腫細胞へのコリン取り込みは、細胞内プロトンとコリンの交換輸送により行われており、その分子的実体はNa^+非依存性のcholine transporter-like protein 1(CTL1)を介して行われていることを明らかにした。さらに、CTL1タンパクは細胞膜分画に発現していた。また、CTL1を介したコリン取り込み作用はNa^+/H^+ exchanger 1(NHE1)およびNHE5と機能共役していることも明らかにし、両トランスポーターは協調的に働いていると考えられる。コリン系の神経芽腫細胞LA-N-2はアセチルコリン合成酵素を発現しており、コリンからアセチルコリンへの変換能を有していた。一方、非コリン系の神経芽腫細胞SH-SY5Yは、アセチルコリン合成能は有していなかった。従って、LA-N-2細胞はアセチルコリンを合成および遊離してauto/paracrine systemを介して細胞増殖などの機能亢進を行っている可能性が考えられる。また、非コリン系の神経芽腫細胞SH-SY5Yにおけるコリン取り込みは、主に細胞膜の主成分であるフォスファチジルコリンの合成系に関与していると思われる。
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