2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経および循環器疾患に対するプテリン代謝制御療法の開発
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22590250
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
一瀬 千穂 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (10247653)
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / チロシン水酸化酵素 / 一酸化窒素合成酵素 / ドパミン神経 / 血管内皮細胞 / ジストニア |
Research Abstract |
この研究では当研究室で作成したBH4生合成遺伝子、およびその再還元酵素遺伝子の改変マウスおよび培養細胞系を用いて、神経・精神疾患および循環器疾患の発生機序を明らかにし、プテリン代謝の制御による治療法・予防法の開発を目的としている。 (1)BH4欠乏マウスの黒質-線条体系の発達・加齢とジストニア(2)ドパミン神経終末でのBH4によるTH制御のメカニズムについての研究では、7週齢♂野生型マウスにGTP cyclohydrolasc 1(GCH1)阻害薬である8-oxo-GTP、8-oxo-dGTP、0.9%NaClを腹腔内投与し、中脳と肝臓でのBH4含量を比較したところ、有意な変化はなかった(n=3)。また同様にGCH1阻害薬であるDARP(200mg/kg)と0.9%NaClを腹腔内投与し、0.5-24 hr後の中脳、線条体、血管、肝臓のBH4含量を比較した(n=1)。肝臓ではDARP投与後24hrでコントロールに比較してBH4が20%程度低値であったが、他の組織では明瞭な差は見られなかった。今後は他のBH4生合成酵素阻害薬を用い、血液・脳関門の未発達な時期のマウスを用いて検討をおこなう。 (3)BH4欠乏マウスの血管機能、(4)高血糖および高脂血症状態におけるBH4欠乏マウスでの血管病変の進行に関する研究では、3ヶ月齢♂の野生型マウス、Pts-/--DPS6マウス、Pts+/+-DPS6マウス、Dhpr-/-マウスの大動脈リング標本を採取し、acetylcholineとsodium nitroprussideによる弛緩反応を比較したところ、有意な差は得られなかった(n=3^~4)。この結果からBH4代謝異常マウスに血管病変を生じさせるには、何らかの負荷をかけることが必要と考えられたため、離乳後の野生型マウス、Pts-/--DPS6マウス、Dhpr-/-マウスに1%コレステロール添加飼料を与え、高脂血症の誘発を試みた。マウスが体重減少をおこしたため、現在飼料の組成を変えて再実験をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数の条件について検討したが、BH4欠損マウスに血管病変を誘発する試みや、血管機能の変化を検出することができていない。またBII4欠損マウスでチロシン水酸化酵素を変化させる条件を見出せていない。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子組み換え体のマウスを使用するため、交配によって必要な遺伝子型のマウスを得るのに時間がかかることが問題である。このため新しく、BH4生合成遺伝子の欠損マウスとしてSpr-/-を導入した。このマウスはホモ接合型が2-3週齢まで生存するため、個体数が得られやすい。今後このマウスにプテリン誘導体とBH4合成阻害薬の投与を行い、チロシン水酸化酵素の活性を変化させる条件を探し、培養細胞を用いてその分子メカニズムを明らかにする。また高脂血症や加齢させた変異マウスの血管の機能解析を準め、BH4含量について、ポストカラム法で定量する。
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Research Products
(1 results)