2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝脂質蓄積に関与する新たなシグナル因子の機能解析-脂肪肝原因因子としての評価-
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22590253
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松末 公彦 福岡大学, 薬学部, 准教授 (10389364)
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Keywords | 転写因子 / 脂肪肝 |
Research Abstract |
Hepatic PPARγ-Dependent gene1 and 2(HPD1及びHPD2)遺伝子は、正常の肝臓においては低発現であるが、ob/obマウスの脂肪肝には高発現している。さらに、PPARγのノックアウトマウスにおいては、その発現が低下するため、PPARγによって制御されていることが推測される機能未知遺伝子である。昨年度は、5'上流域の解析を行い、その転写制御に核内受容体であるPPARγが関与していることを証明した。本年度は、HPD1遺伝子の更なる転写制御を明らかにするために、本遺伝子の組織及び細胞発現性を確認した。 1)HPD1遺伝子の組織発現性の確認 昨年度の転写開始点を決定した実験により得られた結果を詳細に解析したところ、HPD1遺伝子には転写開始点の異なる3つの遺伝子、HPD1a,HPD1b及びHPD1cの存在が明らかになった。脂肪肝における各タイプの発現を調べたところ、脂肪肝特異的な高発現を示すタイプは、HPD1b及びHPD1cであった。また、HPD1b及びHPD1c遺伝子は、PPARγのノックアウトマウスの脂肪肝において、その発現が低下した。さらに、HPD1b遺伝子は、脂肪肝以外にも白色及び褐色脂肪組織に高発現が認められた。 2)3T3-L1脂肪細胞におけるHPD1b遺伝子の分化依存的な発現 HPD1b遺伝子は脂肪組織に高発現が認められたため、典型的な脂肪細胞の分化モデルである3T3-L1脂肪細胞の分化過程におけるHPD1b遺伝子の発現を確かめた。HPD1b遺伝子は、前駆脂肪細胞においては、殆ど発現していないが、分化開始後7日目あたりから著しい発現が認められた。 以上の結果より、HPD1遺伝子(HPD1b遺伝子)は脂肪肝以外にも脂肪組織に高発現しており、脂肪細胞の分化依存的な発現を示すことが明らかになった。これらの発現性からも、HPD1b遺伝子産物の生理機能は脂質代謝に関連したものである可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究以外の業務が非常に多かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書においては、当初、HPD1及びHPD2遺伝子の解析を同時進行するよう記述しているが、まずは、HPD1遺伝子の解析を優先的に先に行い、その後、同様の方法を用いてHPD2遺伝子の解析を行うつもりである。これにより、論文発表は各遺伝子ごとに行う予定であるため、HPD1の論文発表までの時間が短縮できる。
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Research Products
(5 results)