2011 Fiscal Year Annual Research Report
消化管粘膜上皮細胞に特異的なチロシンホスファターゼSAP-1の生理機能の解析
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22590265
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村田 陽二 神戸大学, 医学研究科, 助教 (60400735)
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Keywords | 大腸炎 / チロシンホスファターゼ / チロシンキナーゼ / 腸粘膜上皮細胞 / SAP-1 / IL-10 / 抗菌ペプチド / ケモカイン |
Research Abstract |
本年度は、腸管免疫システムの制御の観点から腸粘膜上皮細胞におけるSAP-1の生理機能、およびSAP-1の基質候補分子として単離したp100について解析を進め、以下の研究成果を得た。 1)腸上皮細胞を介したケモカインの産生は、腸管免疫システムの制御に重要であると考えられている。そこで、SAP-1が上皮細胞におけるケモカイン産生制御に関与するかについて、IL-10遺伝子欠損に加え、さらにSAP1遺伝子欠損したマウスより大腸粘膜上皮細胞を単離し、腸炎の病態形成に重要とされるケモカインの発現量について検討した。その結果、IL-10遺伝子のみを欠損した上皮細胞とIL-10かつSAP-1遺伝子を欠損した上皮細胞トの間で、ケモカインの産生量に違いが生じる傾向が認められた。 2)前年度にSAP-1の基質候補分子としてp100を単離同定し、その機能解析を開始していた。そこで本年度は、p100の機能解析をさらに進めた。その結果、p100がSrcファミリーチロシンキナーゼによりチロシンリン酸化を受け、リン酸化依存的にSH2ドメインを持つタンパク質と相互作用することを見出した。さらに培養細胞を用いた解析から、p100がチロシンリン酸化依存にMAPKsおよびNF-κBのシグナル経路を介して、ケモカイン産生の制御に関与する可能性を見出した。 3)p100のマウス個体レベルでの生理機能およびSAP-1を介した腸管免疫制御の制御分子として機能し得るかについて解析する目的で、p100トランスジェニックマウスおよびp100ノックアウトマウスの作製を進めた。現在、p100のトランスジェニックマウスの作製を終え、解析を進めつつある。一方、p100ノックアウトマウスの作製については、p100遺伝子を欠損したES細胞の樹立を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、SAP-1およびp100の機能解析、p100トランスジェニックマウスおよびp100ノックアウトマウスの作製等が順調に進行しており、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製済みおよび作製中のマウス個体および培養細胞を用い、研究計画に基づいてSAP-1およびp100の生理機能やその作用機構について、さらに解析を進めて行く予定である。
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Research Products
(9 results)