2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590267
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
畑 裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80313237)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / キナーゼ / tumor suppressor |
Research Abstract |
Hippo pathwayは二種類のセリン・スレオニンキナーゼ(MSTとLATS)とその制御因子を中核分子とするシグナル伝達系で、下流では転写コアクチベーターTAZ、YAPをリン酸化して、両者による細胞周期促進的、細胞死阻止的な遺伝子転写を抑制することで、腫瘍抑制シグナルとして機能している。ショウジョウバエの遺伝学的解析から細胞接着分子、細胞膜裏打ちタンパクが上流の制御分子として位置づけられ、哺乳動物でも接着分子CD44や裏打ちタンパクMerlin、angiomotinが活性制御に関わることを示す知見が得られている。しかしHippo pathwayのオン・オフ制御の分子レベルでの理解は十分に進んでいない。とくに問題視されるのは、これまでに得られた知見が、Hippo pathwayの構成分子の過剰発現、あるいは、逆に発現抑制の実験から得られたもので、自然な発現状態のHippo pathwayのオン・オフ制御と、その結果起こる細胞生物学的出力を、必ずしも反映していないことである。この背景を踏まえて、本年度はまずHippo pathwayが正常に保存されている細胞系の探索を行った。ヒト由来の不死化乳腺上皮細胞、腎臓上皮細胞、網膜色素上皮細胞、数種類の血球系細胞、ラット由来の肺胞上皮細胞などを対象とした。結果、ヒト由来U2OS細胞とHK-2細胞においてHippo pathwayが機能していることが明らかとなった。同時に、Hippo pathwayの構成分子のうち、比較的上流に位置づけられるMerlin、MSTキナーゼ、RASSF蛋白を対象とする免疫沈降により相互作用分子の探索を行った。
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Research Products
(7 results)