2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590267
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
畑 裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80313237)
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Keywords | シグナル伝達 / 小分子化合物 |
Research Abstract |
ヒッポ・パスウエイは二種類のセリン・スレオニンキナーゼ(MSTとLATS)とその制御因子を中核分子とするシグナル伝達系で、下流では転写コアクチベーターTAZ、YAPをリン酸化して、両者による細胞周期促進的、細胞死阻止的な遺伝子転写を抑制することで、腫瘍抑制シグナルとして機能している。ショウジョウバエの遺伝学的解析から細胞接着分子、細胞膜裏打ちタンパクが上流の制御分子として位置づけられ、哺乳動物でも接着分子CD44や裏打ちタンパクMerlin、angiomotinが活性制御に関わることを示す知見が得られている。しかしヒッポ・パスウエイのオン・オフ制御の分子レベルでの理解は十分に進んでいない。とくに問題視されるのは、これまでに得られた知見が、ヒッポ・パスウエイの構成分子の過剰発現、あるいは、逆に発現抑制の実験から得られたもので、自然な発現状態のヒッポ・パスウエイのオン・オフ制御と、その結果起こる細胞生物学的出力を、必ずしも反映していないことである。この背景を踏まえて、今年度は、U20S細胞におけるYAPの局在を指標として、ヒッポ・パスウエイを活性化、逆に抑制する薬剤を探索するアセイ系を樹立し、化合物ライブラリーから、それぞれ数十個の候補薬剤を得ている。TAZ,YAPは転写因子TEAD、SMADと相互作用して遺伝子転写を高めるので、TEAD、SMAD応答プロモーターの下でレポーター遺伝子を発現する細胞系を樹立しつつある。このアセイ系を用いて、やはりヒッポ・パスウエイを活性化、逆に抑制する薬剤を探索する予定である。以上の探索から得られる薬剤のうち、ヒッポ・パスウエイを介してTAZ、YAPを制御する薬剤を選別し、その作用点を明らかにすることを通じて、ヒッポ・パスウエイのオン・オフ制御機構を解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒッポ・パスウエイを細胞外からオン・オフできる可能性のある候補薬剤を現に入手しえたことは、ヒッポ・パスウエイ研究を促進する。一部、特許申請の関連で、論文発表しにくい状況があるため、計画以上に進展しているというような評価はしがたく、(2)の評価区分と自己判定する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、作成中のレポーターを指標とするアセイ系を完成し、新しい薬剤スクリーニングを行う。すでに得られている候補薬剤、今後獲られる候補薬剤は、ヒッポ・パスウエイを介さず、直接、TAZ、YAPに作用する可能性があるので、ヒッポ・パスウエイを活性化、阻害する薬剤を選別する。次に、その薬剤の作用点、作用機序を解明することにより、未同定のヒッポ・パスウエイのオン・オフ機構を明らかにする。
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