2011 Fiscal Year Annual Research Report
化学遺伝学研究法を用いたヒトES細胞の未分化維持・分化制御機構の解明
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22590269
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川瀬 栄八郎 京都大学, 再生医科学研究所, 講師 (70402790)
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Keywords | ヒトES細胞 / 化合物ライブラリ / 未分化維持 / 分化制御 |
Research Abstract |
ヒトES細胞は、体を構成する全ての細胞種に分化する能力及び多分化能を保持したまま、培養下で無制限に増殖できる株細胞である。このような特性から、将来ヒトES細胞を用いた再生医療への展開が期待されている。また近年ヒト体細胞からiPS細胞というES細胞と極めて似た性質を持つ細胞の作出法も見出されている。しかしながら、再生医療に賄うべき必要な正常ES/iPS細胞(以下ES細胞と統一して表現する)を大量にどう調達するか、またその分子的基盤を含めて今後明らかにしていく必要がある。本研究ではchemical genetics(化学遺伝学研究法)によるアプローチを用いたヒトES細胞の分子制御機構の理解を目指しており、本研究期間ではそのための土台づくりまでを目標とする。平成22年度はヒトES細胞の未分化・分化状態に対する化合物の効果を、より客観的に評価する指標として、数値化を目指した。数値的な評価が確立できると、より多種の化合物をスクリーニングできるハイスループットスクリーニング(HTS)への発展が可能となる。具体的には、ヒトES細胞の未分化維持に不可欠な役割をしていることが知られている既知の遺伝子のプロモータ領域にGFPをレポーターとしてつなげたベクター遺伝子を導入したヒトES細胞株を樹立した。そしてこのGFPの蛍光強度が、ヒトES細胞の分化・未分化状態と極めて相関していることを見出した。さらに細胞の形態などの要素を加味し、未分化・分化状態をより厳密な評価をすることにも成功した。平成23年度は、この系を用い約1000化合物についてスクリーニングを進めた。その中で比較的類似した化学構造を有する化合物5種が存在することを見出した。さらにこれらの化合物を用いることで、ヒトES細胞の未分化維持増殖にほどんど不可欠であると考えられていたbFGFの代替として機能しうることも見出した。長期間培養された細胞では、未分化ヒトES細胞の特徴をもち、染色体も正常のままであり、多分化能を有していることも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度には実験系を確立し、平成23年度にはその実験系用い化合物スクリーニングを行い、ヒトES細胞の未分化維持に効果のある化合物を単に見出した。また見出された化合物はその効果はヒトES細胞培養に対して長期間効果があることも見出しており、非常に効果のある化合物を見出せたと考えている。さらに、見出された化合物の中には類似構造を有するものが存在していたことを見出しおり、本課題研究で提案した、化学遺伝学研究法の有用性を示すこともできている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は順調に遂行している。平成24年度においては、化合物の分子的な作用機序を進めるとともに、研究期間内に学術論文、学会発表、ホームページでのなどを通して本研究課題成果を広く知らしめたいと考えている。
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Research Products
(4 results)