2010 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス感染複製におけるオートファジーの役割解明
Project/Area Number |
22590274
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北里 海雄 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (50372769)
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Keywords | オートファジー / インフルエンザウイルス / PGG / 微小管結合タンパク質MIP-T3 |
Research Abstract |
(1)オートファジー欠損マウス(atg7KO)由来MEFs細胞株と野生型MEFs細胞株を用い、インフルエンザウイルスを感染させ、経時的に培養上清のウイルス放出、感染細胞におけるウイルスタンパク質の発現を確認した結果、ウイルスの放出はオートファジー欠損では有意な差が認められなかったものの、ウイルスタンパク質の発現が大きく減少した。詳細な分子機構について現在解析中である。(2)GFP-LC3を構成的発現するHeLa細胞株を樹立し、インフルエンザウイルスの感染複製によるオートファゴソーム形成誘導を可視化可能となった。これらの結果は研究実施計画に沿って順調に進んでおり、オートファジーはインフルエンザウイルス感染複製における役割の解明に役に立つ重要な知見となる。一方、中国との抗ウイルス化合物PGGについての共同研究では、PGGのオートファジー誘導活性はその抗HSV-1活性に関与していることを明らかにし、さらに、このPGGのオートファジー活性化分子機構はmTORシグナル伝達経路の阻害であることも明らかにした(Pei et al. BBRC)。現在、このPGGによる抗インフルエンザウイルス活性とオートファジーとの関連性について解析中である。この他、微小管結合タンパク質MIP-T3はヒト細胞での発現量が低く、過剰発現しても分解されやすいことはユビキチン-プロテアソームタンパク質分解経路を介して調節されていることを明らかにし、そのC末端がタンパク質のユビキチン化やタンパク質分解調節に重要な領域であることを同定した(Guo et al. FEBS Lett)。興味深いことに、オートファジーの阻害剤3-MAもMIP-T3の分解を部分的に阻害しており、MIP-T3はシャペロン分子の結合蛋白質であるため、シャペロン仲介オートファジーの関与も示唆され、今後MIP-T3とオートファジーおよびウイルス感染複製との関わりの解析に興味が持たれる。
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Research Products
(6 results)