2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Nrf1による脂質代謝制御機構の発展的研究
Project/Area Number |
22590277
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小林 聡 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (50292214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 佳樹 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (30456777)
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Keywords | 転写制御 / 脂質代謝異常 / ストレス応答 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
本研究の目的は,社会的な問題に発展しているメタボリックシンドロームに対する新たな治療標的として転写因子Nrflに着目し,その脂質代謝にかかわる遺伝子発現制御機構を解明する点にある。Nrflの肝臓特異的遺伝子破壊マウスは,肝臓に脂肪が蓄積して,脂肪肝を経て最終的に肝ガンを発症する。このマウスの症状は,ヒトの非アルコール性脂肪肝(NASH)の症状ときわめて酷似しているため,本マウスを疾患モデルマウスとして、その病態の発症機構を解析することは貴重な知見が得られるものと期待されている。本研究では,Nrflの欠失による遺伝子発現制御ネットワークの破綻がもたらす脂質代謝異常を理解するために,まずNrflの分子制御機構を解析した。 Nrflは,通常細胞質の小胞体(ER)に局在することが知られている。申請者は、Nrflはさらにユビキチン-プロテアソーム系によりタンパク質分解されることで、非ストレス下におけるNrflの機能を抑制していることを発見した。さらに未同定のシグナルにより核へ移行したNrflは、標的遺伝子の発現を活性化しつつも、やはりタンパク質分解されていることを見出した。このタンパク質分解機構では、ユビキチン結合酵素のアダプターであるβ-TrCPがNrflをユビキチン化してタンパク質分解に導くことを明らかにした(投稿中)。この核での分解機構は、活性化したNrf1の機能消退に関わる可能性を見出した。以上の結果から、Nrflは細胞質と核において2つの異なるタンパク質分解機構により、その活性が制御されていることを見出した。
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Research Products
(5 results)