2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Nrf1による脂質代謝制御機構の発展的研究
Project/Area Number |
22590277
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小林 聡 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (50292214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 佳樹 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (30456777)
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Keywords | 脂質代謝異常 / 遺伝子発現制御 / タンパク質分解機構 / プロテアソーム |
Research Abstract |
本研究計画は、転写因子Nrf1のノックアウトマウスがしめす脂質代謝異常に着目し、脂質代謝制御機構におけるNrf1の生理機能を解明する点にある。その成果を、以下に述べる。 (1)Nrf1が発現制御する標的遺伝子として、タンパク質分解酵素プロテアソームのサブユニットPSMC4とPSMB6を同定した。同遺伝子の転写開始点上流にはNrf1結合配列が存在し、実際Nrf1が結合していることをクロマチン免疫沈降法で証明した(成果論文)。 (2)プロテアソームのサブユニットを遺伝子欠失させると脂肪肝になることが知られているため、Nrf1ノックアウトマウスがしめす代謝異常はプロテアソーム遺伝子の発現制御にもとづくことを示した。 (3)研究計画当初、CD36がNrf1の制御下にあるという予備的な知見を得ていたが、詳細に解析したところ、この効果は間接的であり、本質的な問題ではないことを明らかにした。したがって本プロジェクトは中止した。 (4)研究計画当初では、β-TrCPが核でのNrf1タンパク質分解機構に関わることが分かっていた。この分解機構をもたらす責任ドメインを同定し、リン酸化の関与を示した。さらに、細胞質でのNrf1分解機構の存在も発見し、これはユビキチン化酵素Hrd1による小胞体関連タンパク質分解機構(ERAD)が制御していることを明らかにした。この成果は、すでに下記論文として投稿した(成果論文)。 (5)上述したようにNrf1は細胞質においてタンパク質分解されており、実際プロテアソーム阻害剤がNrf1を活性化することを見出した。
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