2010 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類ポリコーム群による安定的遺伝子抑制に必要な遺伝子座記憶機能に関する研究
Project/Area Number |
22590278
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
磯野 協一 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, 上級研究員 (90323435)
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Keywords | ポリコーム群 / エピジェネティクス / 遺伝子制御 / クロマチン / 細胞イメージング / 核ドメイン |
Research Abstract |
ポリコーム群は多くの分化制御遺伝子に対する転写抑制因子であり,少なくとも2つの複合体PRC1とPRC2を形成して機能する.ポリコーム群による抑制は,可逆的でありながら細胞分裂を越えて安定的に維持されていく.この特性が細胞の運命決定に重要である.最近,我々はPRC1が標的遺伝子座上で会合し,PcG bodyと称する可視的核内ドメインを構築することが抑制に重要であることを発見した.すなわちPcG bodyは抑制機能装置である.本研究では,PcG bodyを指標としてポリコーム群の安定的抑制機構の一旦である遺伝子座記憶機能を明らかにする.現在,PRC2が触媒するメチル化ヒストンH3K27がPRC1のプラットフォームであると考えられている.その真否を2つの実験によって検証した.(1)クロマチン沈降実験.PcG body形成不全細胞ではPRC1およびメチル化H3K27はその標的遺伝子座で著しく減少していたが,その減少度はPRC1の方が圧倒的であった.これはPcG body形成がPRC1のリクルートに重要であることを示唆する.(2)免疫抗体染色実験.H3K27メチル化酵素Ezh2を遺伝学的に欠損させるとメチル化H3K27は検出限界以下となる.しかしその状況下においてもPcG hodyは検出された.これはPcG body形成がメチル化H3K27に依存しないことを示唆する。以上のことから,PRC1の標的遺伝子座記憶にはメチル化H3K27よりはむしろPcG body形成が重要であると推察される,したがって,本研究から遺伝子記憶機能はPRC1自体に付与されている可能性が新規に示された
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Research Products
(5 results)