2011 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類ポリコーム群による安定的遺伝子抑制に必要な遺伝子座記憶機能に関する研究
Project/Area Number |
22590278
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
磯野 協一 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, 上級研究員 (90323435)
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Keywords | ポリコーム / 遺伝子制御 / エピジェネティクス / 核内ドメイン |
Research Abstract |
ポリコーム群は細胞分裂を超えて標的遺伝子を抑制することができる.これはポリコーム群が標的遺伝子座を記憶していることを意味する.しかしながら,この記憶メカニズムはまだ十分理解されていない.これまでの我々の研究は核内ポリコーム群構造体(PcG body)が抑制機能に必要であることを示している.したがって本研究では,PcG bodyの形成に関わる要因を探索することで記憶メカニズムの端緒を開きたいと考えている.歴史的にポリコーム群Cbx2がそのN端にあるクロモドメインを介してH3K27me3に結合できることから,H3K27me3がポリコーム群局在化に重要であろうと考えられてきた.しかし昨年度までの結果として,PcG body形成不全細胞を使ったクロマチン沈降実験やH3K27メチル化酵素Ezh2の遺伝子欠損させた細胞の免疫蛍光染色実験から,H3K27me3はPcG body形成の必須要因ではないことが示唆されていた.しかしCbx2によるポリコーム群局在化が最もシンプルであると考える.Cbx2はクロモドメイン以外に,そのすぐ下流のDNA結合ドメインとして知られているAT-hook配列と他ポリコーム群との相互作用に重要なC末保存領域を持つ.本年度,Cbx2 AT-hookの解析に着手した.まず,AT-hookの核酸結合能を調べたところ,それはDNAだけでなくRNAにも結合することがわかった.in vitroでは配列の特異性は低いが,よりRNAに強い結合性を示した.現時点では,non-coding RNAとAT-hookとの相互作用がポリコーム群局在化に重要であろうと仮定している.今後,核酸結合能のないAT-hook点変異がH3K27me3認識や抑制機能,そしてPcG body形成に影響するかを調べていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
記憶メカニズム解明に向けてPcG body形成要因を見つけつことが最終目標である.現在調査中であるが,一般的に考えられてきた可能性(H3K27me3)をまず排除できたことは一つの成果である.よって(2)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
H3K27me3の排除を一般的に受け入れられるようにさらに確信的なデータをそろえる.次候補のCbx2 AT-hookの生物学的意義を検証していく.
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