2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 徹郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00334235)
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Keywords | 癌 / 血管 |
Research Abstract |
腫瘍血管内皮細胞の特性として間葉系細胞(腫瘍関連線維芽細胞など)へ転換(Endothelial Mesenchymal Transition:EndMT)する能力が高いことが挙げられる。以前私はES/iPS細胞由来の血管内皮細胞のEndMTにおけるTGF-βシグナルの役割について報告したが(Kokudo, Watabe et al., 2008, JCS)、今年度はTGF-βによるEndMTを司るの分子機構をさらに詳細に検討した。 膵臓由来MS1血管内皮細胞にTGF-β2を添加すると本来敷石上の形態が紡錘形へと変化する。それとともに内皮マーカーのVE-caherinの発現が低下して、間葉系マーカーのSmooth Muscle α-Actin(SMA)の発現が上昇する。上皮間葉転換(EMT)において重要な役割を果たすRhoシグナルの阻害剤を加えたところ、TGF-βによるEndMTの誘導は著しく阻害された。Rhoシグナルの下流で平滑筋細胞の分化に重要な役割を果たすMyocardin-related transcription factor A(MRTFA)という転写因子のTGF-βによるEndMTの誘導における役割を検討したところ、TGF-βによりMRTFAの発現と核内移行が亢進し、MRTFAの発現を低下させることでTGF-β2によるSMAプロモーターの活性化が阻害されることが示された。以上からTGF-β2によるEndMT誘導においてRhoシグナルにより活性化されるMRTEAの転写機能が重要な役割を果たすことが示唆された。
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