2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 徹郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00334235)
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Keywords | 癌 / 血管 |
Research Abstract |
腫瘍血管内皮細胞の特性として間葉系細胞(腫瘍関連線維芽細胞など)へ転換(Endothelial Mesenchymal Transition: EndMT)する能力が高いことが挙げられる。以前私はES/iPS細胞由来の血管内皮細胞のEndMTにおけるTGF-βシグナルの役割について報告し(Kokudo, Watabe et al.,2008,JCS)、平成22年度はTGF-βによるEndMTを司る分子機構をさらに詳細に検討し、膵臓由来MS1血管内皮細胞にTGF-β2を添加するとEndMTが観察されること、そのEndMTにおいて、上皮間葉転換(EMT)において重要な役割を果たすRhoシグナルならびにRhoシグナルの下流で平滑筋細胞の分化に重要な役割を果たすMyocardin-related transcription factor A(MRTEA)という転写因子が重要な役割を果たすことが明らかにした。平成23年度はこの成果を論文報告(Mihira, Watabe et al.,2012,Journal of Biochemistry)した上で、下記の成果を得た。 骨形成因子(Bone Morphogenetic Protein)ファミリーのメンバーは血管の形成に重要な役割を果たすことが明らかとされている。またファミリーメンバーの一つであるBMP7はEndMTならびにEMTを抑制するという報告がある。しかし、近年新たに同定されたBMP9は他のメンバーとは異なるALK1受容体に結合して特異的なシグナルを細胞内に伝達することが明らかになりつつある。私はBMP9のEndMTにおける役割を明らかにするためTGF-β2によるMS-1細胞における間葉系マーカーのSmooth Muscle α-Actin(SMA)の発現上昇に対するBMP9の効果を検討したところ、BMP7とは逆にEndMTに対して促進的に機能することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は本課題の成果により論文報告を果たした上に、さらなる課題の遂行も順調であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に見出したTGF-β2によるMS-1細胞のEndMTに対するBMP9の促進作用の分子機序を詳細に解明することを計画している。また、これまでの結果を個体レベルで明らかにするために遺伝子改変マウスを用いた解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)