2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規アポトーシス制御分子ヌクリングの炎症性及び腫瘍性疾患発症への作用機序の解明
Project/Area Number |
22590286
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
坂井 隆志 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (80284321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 清 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (00175564)
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Keywords | ヌクリング / NF-κB / アポトーシス / 炎症性疾患 / 発ガン |
Research Abstract |
本研究は、新規アポトーシス制御分子「ヌクリング」の、ヒト生体内における生理機能と病態における意義の解明を目標としている。 ヌクリングKOマウスでは肝炎・肝ガンの自然発症率が生後一年を経過した集団で著増することが観察されている。我々はヌクリング失活によるNF-kB活性化異常が重要な発症の一因と考えている。 本年度は、ヌクリングKOマウスにおけるNF-kB活性化異常の発症機序を解明するために、ヌクリングのNF-kB経路における作用機序を検討した。 ヌクリングは細胞障害性ストレス応答蛋白として、特にTNFa刺激による発現誘導が強い。TNFaはNF-kB経路の活性化因子でもある。ヌクリングの発現にTNFa/NF-kB経路が関与しているか否かを検討した。 具体的にはNF-kB活性化が認められないNF-kB p50 KOマウス由来の細胞を用いて、TNFa刺激によるヌクリングの発現をRT-PCR,Northem blot,Westem blot等で検討した。その結果、p50 KOマウス由来細胞ではTNFa刺激によるヌクリングの発現誘導が認められなかった。つまりヌクリングはNF-kB経路によって制御されていることが明らかとなった。 TNFa刺激後、ヌクリングは一過性に発現上昇が観察される。このことからヌクリングは何らかの代謝経路により分解制御されていることが予想された。TNFa刺激により誘導される分解経路として、IkBaの分解を行うプロテアゾーム系、そしてアポトーシス経路におけるカスパーゼ系が挙げられる。そこで我々はこれらの分解経路に対する阻害剤を用いて、ヌクリングの発現に対する影響を調べた。その結果、ヌクリングはプロテアゾーム系・カスパーゼ系の両方の分解制御を受けていることを明らかにした。以上の結果をまとめ、Journal of Biochemistryに報告した。
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Research Products
(12 results)