2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規アポトーシス制御分子ヌクリングの炎症性及び腫瘍性疾患発症への作用機序の解明
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22590286
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
坂井 隆志 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (80284321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 清 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (00175564)
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Keywords | ヌクリング / NF-κB / アポトーシス / 炎症性疾患 / 発ガン |
Research Abstract |
本研究は、新規アポトーシス制御分子「ヌクリング」の、ヒト生体内における生理機能と病態における意義の解明を目標としている。 ヌクリングKOマウスでは肝炎・肝ガンの自然発症率が生後一年を経過した集団で著増することが観察されている。我々はヌクリング失活によるNF-κB活性化異常が重要な発症の一因と考えている。 本年度は、ヌクリングのヒトホモローグ(hNucling,UACA)がマウスヌクリングと同様の生理機能を有するかどうかを明らかにする目的で以下の研究を行い、日本生化学会中国四国支部例会及び同年会等において発表した。 1.ヒトヌクリング発現プラスミドベクターを作成し、マウスヌクリングと同様にヒトヌクリングにも培養細胞に於ける強制発現系でApaf-1の核内移行に伴うアポトーシス誘導活性があることを確認した。 2.ヒトヌクリングもNF-κBと相互作用することを免疫沈降系及びDuolinkシステム(Olink Bioscience)で確認した。 3.ヒト由来の培養細胞(HeLa細胞)を用いてTNFa等の細胞障害性ストレスで内在性ヌクリゾグの発現が上昇することを確認した。 また以下の研究を行い、上記学会等において発表した。 4.ヌクリングノックアウトマウスはLPS投与による細胞障害性ストレスに対して抵抗性を示すことを見いだした。この現象にはTNFαシグナルの関与が疑われ、特に肝ケッパー細胞を初めとしたマクロファージ系細胞の異常によるサイトカイン放出の異常が想定されたためこれを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヌクリングノックアウトマウスに於ける肝炎・肝癌の発症機構の解明に関しては当初予想されたアポトーシス障害が根本にあるということを、ヌクリングのNF-κBシグナル、免疫系、タンパク分解系などへ関与と共に明らかにし、これを学会あるいは学会誌等で発表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
肝免疫系に於けるヌクリングの役割、肝癌発症に重票と思われる脂肪性肝炎(NASH)発症に対するヌクリングの関与を明らかにする。また神経変性疾患の病態である神経細胞死の異常亢進にヌクリングが関与しているかどうかを、薬剤誘導性パーキンソン病モデルマウスを用いて検討する。
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Research Products
(15 results)