2011 Fiscal Year Annual Research Report
システイン生合成系破綻により発症する急性筋萎縮症の病態解明とその制御法創出
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22590292
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石井 功 慶應義塾大学, 薬学部, 准教授 (90292953)
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Keywords | 筋萎縮 / ミオパチー / オートファジー / アミノ酸飢餓 / システイン / ホモシステイン / 遺伝子改変 |
Research Abstract |
我々は哺乳動物におけるシステイン生合成系の生理的役割とその破綻による病態を,システイン生合成に必須のTranssulfurationを担う二つの酵素Cystathionine beta-synthase(CBS)とCystathionine gamma-lyase(CTH)それぞれの遺伝子改変マウスを利用して解析している。本研究課題では,CTH欠損マウスにシステイン欠乏餌を投与した際に見られる急性骨格筋萎縮の病態発症メカニズムの解明を目指している。 我々は通常餌(日本クレア社CE-2)の43%のシステイン(シスチン)を含むKR酵母餌を投与することにより、CTH欠損マウスでの急性骨格筋萎縮を見出したが、それは骨格筋でのAutophagyの過剰亢進を伴うものであった。しかし,全くタンパク質を含まない(通常餌と同じ含量のアミノ酸を含む)完全アミノ酸餌から全システイン(シスチン)を除いた餌の投与では同種の急性骨格筋萎縮は見られないことがわかり、KR酵母餌の他のアミノ酸組成が筋萎縮の病態進展に関与する可能性が考えられた。本年度はこの知見に基づき、そもそもアミノ酸飢餓により同種の急性骨格筋萎縮は起こりうるのかを検証した。タンパク質を構成する18種のアミノ酸のそれぞれを除く(AspとAsn,GluとGlnはワンステップで変換するので区別しない)無タンパク質完全アミノ酸餌を作製し,野生型マウスに投与した。その結果9種必須アミノ酸のそれぞれの欠乏によって程度が大きく異なる体重の減少が見られたが,同様の急性骨格筋萎縮は観察されなかった。従ってCTH欠損マウスにおける急性骨格筋萎縮は,KR酵母餌の単一のアミノ酸の組成変化によるものではなく,複数のアミノ酸欠乏の組み合わせによる複合的効果によるものと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CTH欠損マウスでの急性骨格筋萎縮の病態解明には至っていないが,新たに野生型マウスにおける必須アミノ酸種による筋萎縮の違いを見出し、より基本的なアミノ酸飢餓応答に対するデータが蓄積しつつある。薬学部への異動に伴い、マウスコロニーの縮小を余儀なくされたが、その中でも研究はおおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はシステイン欠乏餌によるCTH欠損マウスでの急性骨格筋萎縮の解析とアミノ酸種の違いによる骨格筋萎縮の解析を分けて行っていく、メタボロームなど新規技術を導入する。
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Research Products
(10 results)