2010 Fiscal Year Annual Research Report
MDMX/MDM2癌遺伝子産物によるがん幹細胞の制御機構
Project/Area Number |
22590299
|
Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
岡本 康司 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (80342913)
|
Keywords | 癌 / がん幹細胞 / p53 |
Research Abstract |
国立がん研究センター消化器外科、及び病理部門の協力をもとに得られたヒト大腸がん標本を、コラゲナーゼ、DNaseによる酵素処理の後、大腸がん幹細胞に特異的な表面マーカー(CD133、CD44)の発現を指標として、がん幹細胞を精製した。精製したがん幹細胞は、低吸着性プレートを用い、改良したES用培地中でスフェロイドの状態で培養、継代を行った。がん幹細胞としての正統性は、主に以下の実験により検証した。1)大腸がん組織由来の精製がん幹細胞及び非がん幹細胞の一部を、免疫不全マウス(NOD-SCID)に皮下注射し、がん幹細胞の特異的腫瘍形成能を検証。2)生成したスフェロイドの一部を血清の存在下で培養し、分化能を有する事を確認。3)継代培養後に、1)の実験及び、表面マーカー発現の再確認を行い、幹細胞としての性質がin vitro培養により変化しない事を確認。このようにして樹立された大腸がん幹細胞のin vitroスフェロイド培養系を用い、がん幹細胞におけるがん抑制経路破綻の有無、さらに破綻が有ればその機能的役割を明らかにする目的で種々の検討を行った。とりわけMDM2/MDMXと機能的に密接な関係があるp53がん抑制経路の解析に重点を置き、ウェスタン法による個々の蛋白レベルにおける解析を行った。その結果、p53の蛋白レベルでの発現は、大腸がん幹細胞の分化前後で大きく変動しないが、一部の下流遺伝子に関しては発現の上昇が認められた。下流遺伝子の発現誘導がp53に依存しているか現在解析中である。又、遺伝子発現マイクロアレイによる、網羅的な発現解析を行い、その結果を現在検討中である。
|