2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590304
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡 晃 東海大学, 総合医学研究所, 講師 (80384866)
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Keywords | 尋常性乾癬 / GPCR / ケモカイン |
Research Abstract |
乾癬感受性GPCRは内因性のリガンドならびにその生理的機能が不明のいわゆるオーファン受容体である。一方、特異性の高い良質な抗乾癬感受性GPCR抗体はまだ得られていない。そこで、直接タンパク質の精製などを必要とせず、網羅的にタンパク質間相互作用が検出できるYeast Two-Hybrid法を用いてGPCR遺伝子がコードする蛋白と相互作用をする蛋白の網羅的な検出を試みた。 その結果、143個の陽性クローンを獲得した。次に、これらをすべてシークエンシングし、57個の遺伝子由来の蛋白を同定した。次に、これらの情報と公共データベース上にある蛋白間相互作用情報を用いてネットワーク解析を実施した。その結果、興味深い一つの相互作用群が見出され、これにはCCL2(chemokine ligand 2)、ARL6IP5(ADP-ribosylation-like factor 6 interacting protein 5)、CCR5(chemokine receptor 5)の各タンパク質が含まれていた。 CCL2は、乾癬皮疹部で顕著にその発現が上昇していることが確認されているケモカインである。また、マクロファージに対して走化性を有し、創傷治癒や皮膚炎症の重要な因子であると考えられ、乾癬との関連が疑われるケモカインである。ARL6IP5は、細胞の分化に関与すると考えられているが、その機能の詳細は不明である。しかしこの蛋白は、グルタミン酸輸送体であるEAAC1と結合して、その機能を阻害することが分かっており、EAAC1を介して創傷治癒に機能していると考えられる。乾癬との関わりに関しては現在のところ不明である。CCR5は、主にT細胞やマクロファージで発現しているケモカインレセプターであるが、皮膚の修復のピークにおいて発現の停止が見られるとの報告があり、創傷治癒に何かしら関連があると考えられる。 以上のように、今回の実験結果において、皮膚での創傷治癒、炎症に関与する分子群と相互作用を示す可能性が示唆され、乾癬との関連が期待される。
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Research Products
(4 results)