2011 Fiscal Year Annual Research Report
HPV亜型別の感染細胞内組み込み様式に基づく、病理学的な予後推測マーカーの検討
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22590306
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐野 孝昭 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90292581)
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Keywords | HPV / p16 / Ki-67 / 免疫染色 / 細胞診 / 子宮頸癌 / 異形成 / 腺癌 |
Research Abstract |
HPVの感染は子宮頸癌や頸部異形成病変の発症に必須の要因である。臨床では病理・細胞診検体において、その形態像とともに個々の腫瘍細胞にHPV感染の有無を直接確認するにはin situ hybridization法などの手法があるが、手技が複雑であり、感度の問題もあり日常的には行われていない。そこで、HPV感染とその宿主DNAへの組み込みの指標としてp16発現が代理マーカーとしてよく利用されている。病理組織学的には子宮頸癌や頸部異形成病変に極めて特異的にp16の高発現が認められ、診断に有用となっている。一方細胞診領域においてもp16染色は有用であり、形態診断の補助的な役割を担っている。しかしながら、細胞診上では、p16の免疫染色は頸管腺や内膜腺などの非特異的な染色像が混在するため、腫瘍細胞の正確な同定にはしばしば困難なことがある。近年、p16染色に加え、増殖マーカーであるki-67染色を同時に行い、2重染色法とすることで、より特異的に腫瘍細胞の同定ができるようになった。このp16/ki-67の2重染色法をすでにHPV型の判明している検体で評価したところ、明瞭に腫瘍細胞を同定できることが判明した。また、液状細胞診標本で施行することで、1枚のガラス検体あたりの正確な腫瘍細胞の個数(腫瘍細胞の量)を計測することができた。これにより、標本上の腫瘍細胞の個数が、HPV型と有意に相関していることが判明し、高悪性度HPV型や、特にHPV16型においては有意に出現する腫瘍細胞量が多いことが明らかとなった。また、同様の検討を自己採取検体でも比較したところ、自己採取検体では明らかに出現する細胞量が少ないことがわかった。これは自己採取検体での判定に偽陰性が出やすい理由と合致するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
扁平上皮癌や異形成病変に関して、主として免疫染色を用いた病理・細胞診断上の補助マーカーの検討がほぼ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
頸部腺癌についてもHPV亜型や、組み込み形式による予後因子の検討を行う予定である。頸部腺癌はHPV関連である通常型腺癌が主体であるが、一部に胃の幽門腺に類似した胃型粘液を産生する胃型の腺癌が存在することが明らかとなった。この胃型腺癌はHPVとの関連が乏しく、HPV非関連の子宮頸部腺癌と推測され、予後不良であることが言われている。現在、自検例でこの仮説を検証すべく、HPV型検索、胃型腺癌の抽出などを行っている。
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