2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子病理学的新分類「STAT3構成的活性化胃癌」の確立
Project/Area Number |
22590308
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日野 るみ 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60451770)
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Keywords | STAT3 / 胃癌 |
Research Abstract |
報告者の研究室では、EBウイルス関連胃癌の研究を通して、STAT3(signal transducer and activatorofのtranscriptin 3)構成的活性化がEBウイルス関連胃発癌,進展に重要である可能性を見いだした(Hino et al.,Cancer Research 2009)。また、報告者はWHOより1群のdefinite carcinogenに認定されたピロリ菌感染においても胃癌細胞株においてSTAT3の活性化を生じることを見出した。さらにその活性化はピロリ菌の病原因子として知られているCagAタンパク質によるものである事が分かった。EBウイルス関連胃癌では、ウイルス膜タンパクであるLMP2A(latent membrane protein 2A)により活性化されたSTAT3がメチル化酵素であるDNMT1(DNA methyltransferase 1)を誘導するという知見を得ていたので、CagA蛋白質についても同様の検討をした。その結果、CagA蛋白質においてもSTAT3の活性化を介したDNMT1の活性化が見られる事が分かった。また、そのDNMT1の活性化が発癌との関連が多く報告されているDNAメチル化異常に関連する事を見出した(投稿準備中)。これらの知見より、STAT3活性化、DNMT1発現亢進、それに続くDNAメチル化異常は、EBウイルスやピロリ感染といった微生物系発癌因子に共通に見られる重要な発癌過程の可能性が高く、治療や予防に応用できる可能性を有し、臨床病理学的意義は極めて高い。今後は、微生物系発癌因子が関与しない胃癌も含め、「STAT3構成的活性化胃癌」の分子病理学的特徴の詳細を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)