2011 Fiscal Year Annual Research Report
極性形成分子Par/Lgl/Scribの肺癌における異常と浸潤・転移との関係
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22590309
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
明石 巧 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (60242202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 直之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80451912)
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Keywords | 肺癌 / 浸潤突起 / 極性異常 / 基底膜 |
Research Abstract |
癌細胞の間質接合面に形成され細胞外基質分解能を持つ浸潤突起は基底膜の破壊・消失を介して浸潤・転移に関係する。これまでの研究では正常細胞では上皮細胞の頭頂部に局在する浸潤突起分子actinin1,cortactinが肺腺癌の間質浸潤部において癌細胞の基底部/間質面に局在し、基底膜の破壊、リンパ節転移と相関することを明らかにした。細胞極性機構の異常が浸潤突起の形成に関係している可能性を考え、平成23年度においては上皮の頭頂部と基底部を仕切りる機能によって極性形成に重要な役割を担うtight junction分子であるoccludin、tight junction形成の制御分子であるpar3/par6Bの肺腺癌における局在の異常と浸潤突起分子、基底膜の破壊、リンパ節転移との関係を免疫組織学的に検索した。その結果、正常では気管支上皮頭頂部直下に局在するoccludinが肺腺癌の1/3の症例で間質接合面への局在を認め、浸潤突起分子actinin1,cortactinの基底部/間質接合面への局在、基底膜の消失と有意な相関を示し、リンパ節転移とも相関傾向が認められた。浸潤突起の形成と細胞極性の異常には密接な関係があり、正常では頭頂部側に隔離されている浸潤突起分子が癌の浸潤過程で基底側に転位し、基底膜の破壊・浸潤に繋がっている可能性が示唆された。一方、tight junction形成の制御因子であるpar3/par6は主に正常気管支上皮の頭頂部、癌細胞の腺管内腔面に認められ、間質面への局在は明らかには認められず、癌細胞における極性異常への関与を示唆する結果は得られなかった。 極性分子による浸潤突起分子の制御機構を実験的に検討するため、蛍光標識した浸潤突起分子、極性分子の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度においては極性形成に関与するtight junction分子と浸潤突起分子の局在との相関、浸潤との相関を明らかにすることができた。さらに、極性分子による浸潤突起分子の制御機構を実験的に検討するのに必要な蛍光分子の準備も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においてはPhosphatidylinositol、Rho GDP-GTP変換因子(ect2)を中心にして、細胞極性機構と浸潤突起分子の細胞内局在との関係、基底膜形成に与える影響、浸潤との関係について培養細胞を用いた実験によって検討する。
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