2011 Fiscal Year Annual Research Report
線維性皮膚炎における骨髄由来間葉系前駆細胞の分化異常と過剰瘢痕の形成機序
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22590321
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 准教授 (60202511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 一郎 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20125298)
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 准教授 (30276894)
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Keywords | 創傷治癒 / 間葉系前駆細胞 / Fibrocyte / 細小動静脈 / 組織修復 / 肉芽組織 |
Research Abstract |
[目的]創傷治癒過程において細胞外基質の生成沈着を制御する線維芽細胞は一部が血球由来の間葉系前駆細胞(Fibrocyte:Fb)から誘導されることが判明している。しかし修復過程のFb発現特異性や血管内から外への分化誘導機構は不明である。平成23年度はヒト正常皮膚の修復組織におけるCD34,Leukocyte specificprotein-1(LS P-1),Procollagen-Iを用いた二重染色陽性Fbの発現特異性を血管内外で解析し、血管組織構築との関連からFb分化誘導機構を検討した。 [方法]ヒト皮膚手術材料非病変部組織49例を用いてCD34,LSP-1,Procollagen-I二重染色を施行しFb発現性を解析した。さらに修復組織の毛細血管、細小動静脈、動脈におけるCirculating Fb発現数を計測し、Fbの血管内外の局在様式からFbの分化誘導機構を検討した。[結果と考察](1)血管外Fbは血管外で著増していた。特にProcollagen-I/LSP-1とCD34/LSP-1陽性Fbは炎症・増殖期をピークを示した。(2)血管内Fbは発現変動がなく、Procollagen-I/CD34およびProcollagen-I/LSP-1陽性Fbの発現ピークはなかった。(1)の結果よりFbは血管内外でその分化様式が異なることが示唆された。Pillingらの説によれば前駆細胞レベルで血管外に移行し、組織中でFbに分化する可能性も考えられた。(3)血管内Fbは全てのグループは細小動静脈で増加し、特にProcollagen-I/CD34とCD34/LSP-1陽性Fbは細小動静脈で特異的に増加していた。よって細小動静脈はFb分化誘導に重要な微小環境を提供していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常創傷治癒過程における3種類のFibrocyteの発現特異性はほぼ明らかにすることができた。特に細小動静脈にて血管内Fibrocyteの集積が明らかにすることができたのはきわめて意義ある結果と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画の変更はない。次年度から線維性皮膚炎であるケロイドや肥厚性瘢痕における3種類の抗体で同定可能なFibrocyteの発現頻度を今年度まで得られた正常における結果と比較検討し、線維性皮膚炎におけるFibrocyteの発現異常を(1)血管内の発現頻度(2)血管外の発現頻度(3)ケモカインの発現変化から解析し本研究課題をより一層推進する。
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