2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590322
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石井 寿晴 東邦大学, 医学部, 教授 (30101893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 准教授 (60202511)
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Keywords | 心筋架橋 / 冠状動脈 / アテローム硬化 / 心筋梗塞 / 組織計測 / 動脈収縮関連蛋白 / 血行力学 |
Research Abstract |
心筋架橋(MB)の解剖学的特性の定量的組織計測.既に蒐集済みの、非梗塞心のうち、左冠状動脈前下行枝(LAD)にMBを有する200例、MBを有しない200例を対照群として、今回、MBの有無を問わず、150例の梗塞心を蒐集した。これらの剖検心を中性緩衝ホルマリン固定し、LADを周囲の心外膜脂肪織・MB部の心筋を含めて、左冠状動脈入口部より、5mm間隔に横断面で、割を入れ、平均20断面について、HE・EVG染色を施した組織標本を作製した。観察対象として、心筋梗塞の有無とならんで、MBの解剖学的特性の計測と画像解析によるLAD各断面の動脈硬化度を測定した。又、検索可能な症例については、eNOS(eNOS),endothelin-1(ET1),angiotensin converting enzyme(ACE)に関する免疫組織化学の観察を行った。 (結果)(1)MBを有した心筋梗塞群において、MBの長さ・厚さは、MBをもつ非梗塞心に比して、有意に長く、又、厚かった。(2)MBを有した心筋梗塞群において、LAD内の硬化病変の好発部位は、MBを有しない心筋梗塞群のそれに比して、左冠状動脈入口部方向に、2cm変位して局在していた。(3)eNOS、ET-1,ACEのいずれの動脈収縮に関連した蛋白の発現も、MB被覆部のLAD内膜では、MB近位内膜に比して有意に低下しており、アテローム硬化抑制と関連していることが想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年の病理解剖の現象により、心筋梗塞剖検例の蒐集が遅れ気味で、冠状動脈のアテローム硬化に関する組織計測は、順調に終了しつつあるが、アテローム硬化性病変の質的検索が遅れている。しかしながら、最近、ようやく、目標とした症例数に達し、最終年度である平成24年度には、研究計画のすべてを遂行可能と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年は、最終年度にあたるために、これまでの研究成績を様々な角度から吟味して、これらの成績に関し、結論できるまで整理して、国際的な有力学術雑誌への論文掲載をもって、科研費受領の期待に応えたい。その前に、今年度は、特に、MBとLAD硬化性病変の組織学的変化を主とした病理組織学的分類との関係に、努力を傾注する必要がある。
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