2010 Fiscal Year Annual Research Report
国内外のIgA腎症病理組織分類の検証に関する臨床病理学的後ろ向き研究
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22590326
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
城 謙輔 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (10057086)
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Keywords | IgA腎症 / 組織分類 / 多国籍 / 予後予測因子 / 腎生検 / 病理 / Oxford分類 / 組織学的重症度分類 |
Research Abstract |
1)Oxford国際分類ならびに日本分類を構成する病理パラメータに関する追試研究 IgA腎症Oxford国際分類は我が国の組織学的重症度分類(日本分類)と異なるため、Oxford研究の手法を用いて我が国のコホートにおいて後方視的に追試した。233症例の成人IgA腎症患者を対象とし、追跡期間127ヶ月(17-602ヶ月)であった。重回帰分析では、腎生検時のeGFR、そして腎生検時ならびに追跡期間中の平均血圧と蛋白尿で補正した結果、管外性病変と間質の線維化が腎機能低下に関連した。腎機能の50%低下あるいは末期腎不全への進展をendpointとしたCox単回帰ならびに重回帰分析では、管外性病変の有無と間質線維化の程度が腎予後に関する独立した予測因子であった。一方、Oxford分類では、管外性病変は選ばれず、間質線維化と分節状硬化のほかにメサンギウム細胞増殖と管内増殖病変が予後不良因子として選択されているが、我々の研究では選ばれなかった。その原因は追跡期間、対象年齢、初期のeGFRと蛋白尿の制限の違いによった。国際組織分類が標準となるためには日本のコホートにも適応できる分類が望まれた。 2)Oxford国際分類ならびに日本分類の病理診断者間での再現性に関する研究 15施設90症例のIgA腎症を用いて、4人の観察者がオックスフォード基準にそってスコアー化し、級内相関係数(intraclass correlation coefficient:ICC)を用いて多者間の再現性を評価した。組織学的重症度分類(活動性と慢性)とOxford分類についての再現性は良好であった。個々の病変については、細胞性半月体、全節性硬化、分節性硬化の再現性は良好であったが、線維細胞性半月体、線維性半月体、癒着のそれぞれの再現性は低かった。そのため、細胞性または線維細胞性、癒着または線維性半月体として、病変をスコアーするのが実践的であった。
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