2010 Fiscal Year Annual Research Report
胸膜中皮腫発生・進展に関わるエピジェネティクス変化の病理病態解析
Project/Area Number |
22590333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
出射 由香 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (90464271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 荘平 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (90186239)
北澤 理子 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (00273780)
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Keywords | 中皮腫 / エピジェネティクス / E-カドヘリン / 遺伝子プロモータ / DNAメチル化 |
Research Abstract |
エピジェネティクス制御機構は、再生医療、分子標的癌治療へと展開しているポストゲノム時代の重要な研究課題である。本研究課題では、アスベスト曝露後の悪性中皮腫に焦点を当て、酸化的ストレスとDNAメチル化集積との関連について、労災病院との共同研究により,悪性中皮腫病理組織検体によるDNAメチル化の評価をめざすものである。 多くの悪性中皮腫症例で見られる組織形態として、腫瘍組織の上皮様構造(癌腫様構造)と肉腫様構造の2相性をもつことに着目して、病理標本の特定部位から切り出した微量検体でのDNAメチル化検出の予検討を行った。腫瘍細胞の増殖との関連については、癌抑制遺伝子のひとつであるP16の発現、遺伝子プロモータ領域のメチル化について、組織検体の腫瘍細胞と、非腫瘍部分との比較検討を行った。腫瘍部分では、P16発現低下とメチル化高頻度がみられた。さらに、P16遺伝子プロモータのメチル化部位の特定と、酸化的ストレスとの関係について、解析を進めている。 腫瘍の形態に着目した解析としては、癌腫様部分では腫癌細胞相互の細胞結合が見られE-カドヘリンが発現しているが、肉腫形態の部分では、腫瘍細胞は散在性で細胞結合がなく、E-カドヘリンの発現がない。両者の移行像も見られ、遺伝子欠失による発現低下は考えられないため、プロモータ領域のメチル化による発現抑制を念頭において、実験系を整備している。微量の組織検体を用いて、E-カドヘリン遺伝子プロモータ領域のメチル化を検出するMSP(メチル化特異的PCR)法による解析を行った。メチル化部位を特定するとともに、変化が可逆的であるかどうか、解析をすすめている。 これまでのメチル化による発現制御に関する知見は、Cancersに投稿し掲載された。 病理検体の組織像に基づいた解析結果は、今後、内外の学会にて報告する予定である。
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Research Products
(2 results)