2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規糖尿病微小血管障害発症機序とその治療標的としての有用性に関する病理学的研究
Project/Area Number |
22590347
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鬼丸 満穂 九州大学, 医学研究院, 助教 (00380626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米満 吉和 九州大学, 薬学研究院, 客員教授 (40315065)
池田 康博 九州大学, 医学研究院, 助教 (20380389)
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Keywords | 糖尿病微小血管障害 / Tie-2 / 可溶性変換 / PKC |
Research Abstract |
本研究において着目し、血管の安定性に極めて重要な役割を果たすTie-2受容体に関し、これまで我々は、血管内皮細胞に発現するTie-2が可溶型に変換されること、PMAの刺激でTie-2可溶型変換が促進されることを明らかにしてきた。本研究課題は、このTie-2可溶型変換と糖尿病微小血管障害の病態発症・進展との関与を明らかにすることであるが、そのためには、細胞レベルでのTie-2可溶型変換分子メカニズムを明らかにすることが重要である。本年度は、このメカニズム解明に重点を置いた研究を遂行し、次の結果を得た。1.Tie-2の可溶型には主に75kDaのものと115kDaの二つタイプが存在すること、2.PMAは75kDaのタイプの可溶型変換促進に関与すること、3.PMAによる75kDaTie-2可溶型変換はPKCのシグナルにより促進されること、4.PKCを構成するアイソホームの中でも、特にPKC-epsilonの活性が75kDaTie-2可溶型変換に重要であること、5. 115kDaTie-2の可溶型変換は、炎症性サイトカインであるTNF-αにより促進されること、6. 75kDaのTie-2可溶型変換に主として関与する膜型プロテアーゼはMMP-14であり、115kDaTie-2可溶型変換に主として関与するプロテアーゼはADAM9であること、などを明らかにした。変換メカニズムが異なる二種類のTie-2可溶型の存在を明らかにしたことは、本年度における一番の成果である。しかし、このことは予期していなかったことであり、今後は、なぜ二つの可溶型変換メカニズムが存在するのかという、その生物学的意義を明らかにしていくことが、最終的な目標である糖尿病病態との関連性を明らかする上で重要であると考える。
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Research Products
(5 results)