2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋細胞の動脈硬化性形質転換におけるトリグリセリド代謝の意義
Project/Area Number |
22590349
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松本 裕文 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (90532408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 誠也 国立大学法人琉球大学, 医学研究科, 教授 (60268844)
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Keywords | 細胞 / 血管平滑筋細胞 / トリグリセリド / 脂肪酸代謝 / ATGL |
Research Abstract |
正常ヒト大動脈血管平滑筋培養細胞において、オレイン酸500μM刺激を加えた際の脂肪分解に関わる遺伝子と脂肪酸のβ酸化に関わる遺伝子の発現量をreal-time RT-PCRで検討した。分化型では、ATGL、CPT1BおよびPDK4の発現量が増大し、HSLの発現量は減少した。一方、増殖型では、CPT1BおよびPDK4の発現量が増大、HSLの発現量に著変はなく、ATGLの発現量は軽度に減少した。なお、ウエスタンブロットにて分化型のATGL発現について上記と概ね同様の傾向が見出された。また、それぞれの形質でオレイン酸負荷後、24時間、48時間の細胞内トリグリセリド(TG)量を計測した結果、いずれも時間経過に伴い漸減するが、その減少率は増殖型の方が約3倍大きかった。また、脂肪細胞の機能に関わるいくつかの遺伝子の発現をRT-PCRで確認したところ、いずれの形質でもオレイン酸刺激の有無に関わらず、ADRPとaP2の発現を認め、leptinの発現は見られなかったが、特に増殖型では、未刺激状態でC/EBPαが発現し、オレイと酸刺激48時間後にPPARγ2が発現した。これらの結果から、血管平滑筋細胞の脂質利用度や脂肪酸刺激に対する応答は形質により異なり、増殖型において脂肪細胞の分化・脂質代謝の鍵となる遺伝子C/EBPα、PPARγ2の発現がオレイン酸刺激前後で変化したことは、この形質に特徴的であり、分化型のTG代謝系との違いに重要な因子として作用している可能性がある。また、TG代謝が血管平滑筋細胞の古典的および炎症型形質に与える影響をreal-time RT-PCRで検討した結果、オレイン酸負荷後24時間で分化型のSMAの発現量が減少し、増殖型のVCAM-1およびMCP-1の発現量が増大した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常ヒト大動脈血管平滑筋培養細胞を用いた泡沫化モデル、形質転換モデルが確立されている。
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Strategy for Future Research Activity |
ATGL遺伝子の発現レベルに介入することにより、細胞内トリグリセリド代謝が形質転換に及ぼす影響を明らかにする。導入効率が低く、適切な効果が得られない場合には、アデノウイルスベクターでの対応を考えている。
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