2011 Fiscal Year Annual Research Report
免疫寛容を導入したヒト化ファブリー病マウスに対する改変型酵素の治療効果
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22590373
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田島 陽一 財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (00300955)
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Keywords | 疾患モデル動物 / ファブリー病 / 酵素補充療法 / 免疫寛容 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
改変型NAGAは、新しいコンセプトに基づくファブリー病治療薬になる可能性を秘めている。しかし、マウスを用いた動物投与実験を行うと、強い免疫原性を示すことが判明した。そこで、ヒトNAGAに対して免疫寛容を獲得させるため、肝臓特異的にヒトNAGA遺伝子を発現させたヒト化ファブリー病マウスを作製した。野生型マウスおよびファブリー病モデルマウス、ヒト化ファブリー病マウスを用いて、改変型NAGAの投与実験を行ったところ、野生型マウスおよびファブリー病モデルマウスは、投与4回目から改変型NAGAに対するIgG抗体レベルが顕著に増加し、5回投与後(14日後)に殆どの個体が死亡した。ヒト化ファブリー病マウスは、改変型NAGAを投与しても、抗原特異的なIgG抗体レベルは増加せず、投与した全てのマウスが生存した。これらの結果により、改変型NAGAは、マウスに対して強力な免疫原性を持ち、一方、ヒト化ファブリー病マウスではヒト改変型NAGAに対して免疫寛容を獲得したことが示唆された。 次に、ヒト化ファブリー病マウスの改変型NAGAに対する免疫寛容が制御性T(Treg)細胞によるものかを検討するために、ヒト化ファブリー病マウスの脾臓由来のTreg細胞をファブリー病モデルマウスに養子移植した後、改変型NAGAを投与の投与実験を行った。その結果、ヒト化ファブリー病マウスのTreg細胞を移入したマウスは、移入しなかったマウスに比べて生存日数が僅かに伸びたが、最終的には全ての個体が死亡した。このことから、ヒト化ファブリー病マウスの改変型NAGAに対する免疫寛容は、Treg細胞の移入では、他のマウスに免疫寛容を獲得させることができないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するための研究の内の4つの内の(1)ヒト化ファブリー病マウスの作製、(2)改変型NAGA投与によるマウス免疫系の影響、(3)改変型NAGA投与による副作用の3つの項目についてほぼ終了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、改変型NAGA投与によるマウスの死因は明確にする。そのためには、アナフィラキシーを含めたアレルギー反応が起きているかを詳細に検討する。さらに、改変型NAGA投与による治療効果をヒト化ファブリー病マウスを使い、生化学的および病理学的に検討する。
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Research Products
(4 results)