2011 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫におけるがん遺伝子YAPの腫瘍形成機構の解明
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22590375
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
村上 秀樹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90303619)
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Keywords | 悪性中皮腫 / 細胞内シグナル / がん遺伝子 |
Research Abstract |
悪性中皮腫においてNF2→Hippo経路に関わる分子の遺伝子異常が高頻度にみられることを明らかにし、この経路の破綻ががん遺伝子であるYAP(Yes-associated protein)の恒常的な活性化を引き起こし腫瘍形成に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。本年度はNF2→Hippo経路に異常を有する中皮腫細胞株においてYAPおよび相同性を有するTAZをレンチウイルスの系を用いてノックダウンし細胞の増殖、運動・浸潤能に与える影響について評価を行った。増殖能の評価にはMTTアッセイ、FACSによる細胞周期解析を用い、運動・浸潤能についてはそれぞれトランスウェルチャンバーとマトリゲルチャンバーを用いて測定した。NF2あるいはLATS2に遺伝子異常を有する細胞株では、YAPのリン酸化が低下している傾向にあり、細胞密度依存性のYAPの核外移行の低下がみられた。NF2がホモ欠失しているNCI-H290、LATS2遺伝子に異常を有するY-MESO-27,Y-MESO-30の3つの細胞株においてYAPあるいはTAZのノックダウンを行った結果、YAPのノックダウンにより3つの細胞株において細胞の増殖および運動・浸潤能の低下がみられた。TAZのノックダウンでは3つの細胞株で運動・浸潤能の低下がみられ、増殖能に関してはYAPと比較すると効果は弱いものであった。ノックダウンした細胞よりmRNAを抽出し、発現アレイを行い、発現の変化する遺伝子群の同定を試みた。3つの細胞株で共通して発現の変化する遺伝子群(約200)が同定された。これらの遺伝子群はGene ontology、パスウェイ解析により細胞周期の制御との関連性が示唆された。YAPは細胞周期の進行に関与する遺伝子群を標的とし細胞の増殖に関与する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
YAPの標的遺伝子候補の同定がほぼ終了しており、いくつかの標的遺伝子に関しては直接の標的遺伝子であることを確認している。標的遺伝子群のプロモーター領域にいくつかの共通した転写因子の結合配列がみられYAPがこれらの転写因子のコアクチベーターとして働く可能性が示唆されている。当初の研究計画はほぼ達成できていると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
標的遺伝子のうちいくつか生物学的に重要な遺伝子を抽出し、中皮腫細胞の増殖、運動・浸潤能に与える影響についての解析を行っていく。阻害剤の存在するものについては治療薬としての可能性について検討を行っていく。結合する分子の同定が困難な場合は、マススペクトロメトリーにて分子の同定を行っていく。
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Research Products
(2 results)