2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590378
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
所 正治 金沢大学, 医学系, 講師 (30338024)
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Keywords | 腸管寄生原虫 / アデノシン代謝 / 創薬 / クリプトスポリジウム / 核酸代謝 |
Research Abstract |
日和見感染症として時に死をもたらしうるクリプトスポリジウム症には、効果的な治療法が存在しない。そこで、既に特許取得済みのアデノシンアナログによる抗クリプトスポリジウム作用をベースに新規薬剤開発のシーズ探索を実施する。本年度は、クリプトスポリジウムの培養系における増殖率評価を定量リアルタイムPCR法により評価可能とし、複数のアデノシンアナログによる抗クリプトスポリジウム効果スクリーニングを実施した。また、効果のあったアデノシンアナログについては、アデノシルホモシステイン加水分解酵素S-adenosyl-1-homocysteine hydrolase(SAHH)に関する酵素学的阻害反応解析を実施した。本研究で開発した定量リアルタイムPCR法は、SYBR Greenを用いたインターカレーター法による簡便法のため、費用対効果に優れる。また、以上の評価によってその効果が期待される化合物としてnepianocin A (NPA)および2-fluoroadenosine(2FA)の各アデノシンアナログを評価したが、NPAは濃度依存的に培養クリプトスポリジウム増殖を抑制(50%有効濃度EC_<50>=139μM)したものの、その効果は、マラリア原虫(EC_<50>=0.20μM)やHIV(EC_<50>=0.001-0.1μM)に対する効果よりも低く、クリプトスポリジウムの薬剤抵抗性を確認することとなった。また、NPAは組換えクリプトスポリジウムSAHHの活性を競合的に阻害(K_i=0.395μM)することも明らかになった。一方、2FAは、クリプトスポリジウムの細胞培養系では効果を示したが、詳細解析により、宿主細胞への毒性がこの効果をもたらしている可能性が示唆され、また、SHAAに対する阻害効果は認められなかった。次年度以降は、本年の成果を踏まえ、アデノシンアナログの中でも、抗がん剤に着目し、その効果解析を実施予定である。
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