2011 Fiscal Year Annual Research Report
蚊における昆虫ウイルス慢性感染が蚊媒介性ウイルスの感染・流行動態に及ぼす影響
Project/Area Number |
22590387
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
伊澤 晴彦 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (90370965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤邉 京子 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (10215923)
油田 正夫 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90293779)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 昆虫 / 社会医学 / 生態学 |
Research Abstract |
野外の蚊は、蚊自身には病徴を示さない昆虫フラビウイルスに高頻度で慢性感染していることから、自然界では昆虫フラビウイルスと蚊媒介性フラビウイル入との重複感染が頻繁に起きる可能性が指摘されている。本研究では、自然界の蚊における昆虫フラビウイルスの慢性感染状態が、後に重複感染した蚊媒介性フラビウイルスの感染動態や宿主蚊の感染応答にどのような影響を与えるかを細胞・個体レベルで解析し、蚊媒介性フラビウイルスの感染増殖や流行動態に及ぼす影響を調べることを目的とした。 本年度は、昆虫フラビウイルス持続感染細胞に対し重複感染させた蚊媒介性フラビウイルスの感染増殖様相の変化を調べることを計画した。まず、イエカ特異的な昆虫フラビウイルスであるCulex flavivirus(CXFV)を、新たに作出に成功したコガタアカイエカ培養細胞に接種し、一定の希釈率で複数回の継代を行った。その結果、持続的にCXFV粒子が産生され、継代維持が可能な持続感染細胞系が作出された。この持続感染細胞系にイエカ媒介性フラビウイルスである日本脳炎ウイルス(JEV)を接種したところ、接種後4日目まではCXFV非感染細胞系との間でJEVの増殖様態に顕著な差はみられなかった。しかし、接種後4日目以降からCXFV持続感染細胞系において細胞変性効果が確認され、JEVの増殖様態にも変化が認められた。一方、ヤブカ特異的な昆虫フラビウイルスであるAedesflavivirus(AEFV)については、ヒトスジシマカ培養細胞C6/36を用いた持続感染系の作出は困難であったため、現在別のヒトスジシマカ培養細胞系を用いたAEFV持続感染系の作出に向けて検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AEFV持続感染細胞系の作出が、当初使用を予定していたヒトスジシマカ由来培養細胞ではきわめて困難であることが判明したため、別のヒトスジシマカ由来培養細胞系を新たに導入し利用することに変更したため。
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Strategy for Future Research Activity |
CXFVを持続感染させたイエカ個体を作出し、これにJEVを重複感染させた際のウイルスの病原性や増殖様態の変化等について、持続感染イエカ細胞系で得られた結果との比較検討を行う。また、AEFVを持続感染させたヤブカ由来培養細胞や蚊個体を作出し、これにデングウイルス(DENV)を重複感染させた際のウイルスの病原性や増殖様態の変化等について調査する。
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Research Products
(5 results)