2010 Fiscal Year Annual Research Report
NK細胞のリステリア感染における役割と2本鎖RNAによる感染抵抗性増強機構の解明
Project/Area Number |
22590388
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
江本 善子 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 研究員 (30542344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江本 正志 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (70232981)
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Keywords | ナチュラルキラー細胞 / リステリア / NKT細胞 |
Research Abstract |
これまでの研究において、ナチュラルキラー(NK)細胞(細胞表面にNK1.1分子を発現する)は感染後速やかにインターフェロン-γを産生することから、リステリア感染に対する防御に必須であると考えられていた。しかし、NK1.1を発現する細胞には、NK細胞だけでなく、NKT細胞も存在することから、どちらの細胞あるいは両細胞がリステリア感染に対して防御的に働くのかについては明らかではなかった。本研究では、NK細胞のリステリア感染症における真の役割を明らかにするため、各種遺伝子欠損マウスおよび/または各種抗体を用いてNK細胞を消失させたマウスにリステリアを感染し、感染抵抗性を比較検討すると共に、その機構を細胞・分子・タンパクレベルで明らかにした。即ち、(1)iNKT細胞欠損(Jα 18-/-・β 2m-/-・RAG-1-/-)マウス、NK細胞・invariant NKT細胞欠損(IL-15-/-)マウス、高濃度の抗アシアロGM1抗体によりNK細胞を消失させた(Jα 18-/-・C57BL/6)マウス、抗NK1.1抗体によりNK1.1+細胞を消失させた(J・α 18-/-・β 2m-/-・RAG-/-・IL-15-/-・C57BL/6)マウス、並びにコントロール(C57BL/6)マウスにListeria monocytogenes(EGD株)を感染し、感染抵抗性(生存率・臓器内菌数)、標的臓器の病理学的変化、標的臓器に存在・集積する各種細胞の動態を測定した。その結果、予想に反し、NK細胞非存在下において、リステリアに対する感染抵抗性の増大すること、並びに臓器障害が亢進することが明らかとなった。このことは、これまでの既成概念が間違っていること、即ちNK細胞はリステリア感染に対して増悪的に作用していることを示唆している。
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