2011 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌の初期感染時における免疫反応抑制機構の解析
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22590389
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸邉 亨 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70207596)
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Keywords | 病原性 / 157 / 病原因子 / III型エフェクター / アポトーシス / EPEC |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌(EHEC)や腸管病原性大腸菌(EPEC)の上皮細胞感染における炎症応答抑制に関与する可能性のある病原因子EspJについて解析をすすめた。上皮細胞にEspJを発現させた後LPSあるいは死菌体で細胞を刺激しIL-8の分泌を調べたが顕著な影響は観察できなかった。また、マクロファージ様細胞THP-1に対してもEPEC再構築株とそれのespJ発現株を感染し同様に細胞刺激後の応答を観察したが顕著な相違が見られなかった。一方、細胞にEspJを発現させた時の形態を詳細に観察したところ、核の凝縮がみられ細胞死が誘導されている可能性が示唆された。そこで細胞死についてさらに検討したところ、EspJの発現によりアポトーシスが誘導あるいは促進されていることが確認できた。また、EspJは細胞内にIII型分泌により注入されたのち核に局在することを観察した。そこで、細胞の標的分子を精製EspJをもとに分離したところApi-5(Apoptosis inhibitor 5)と特異的に結合することを見いだした。以上の結果より、EspJはApi-5の活性を阻害しアポトーシスによる細胞死を促進している可能性が示唆された。また、EspJ単独でもアポトーシスを誘導するが、EspJ発現とは独立にアポトーシスを誘導する刺激によりアポトーシスがより促進されることからEspJはアポトーシスの促進作用が主な機能である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに当初の計画にあった炎症応答を抑制する病原因子を同定し、その作用機構も解明できている。また2年目では抑制作用は見られなかったが初期感染の細胞応答に重大な影響を及ぼす細胞死に関わる病原因子の同定にも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度ではEspJの作用機構を詳細に解析し、EHEC/EPEC感染による細胞死の誘導あるいは促進の役割について解明する。また同時に、さらに炎症応答に関与する病原因子を検索し、解析を進める。
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Research Products
(4 results)